研究概要 |
臨床的手法による算数のカリキュラム開発に関する研究では,子どもの学習過程をもとにしたカリキュラム開発を実現することが目的である。そのために具体的な課題として次の3点を明らかにした。 1 自然数の除法の場面から小数の除法場面への発展において鍵となる比例的推論の発展の過程を子どもの学習過程を観察,分析することを通して明らかにすること 2 自然数の除法から小数の除法へ至る過程でのカリキュラムを提案すること 3 授業過程,そして子どもへのインタビュー過程を通しながら,学校現場でのカリキュラム開発をする手法を開発すること,特に,デザイン・リサーチの手法を用いた 研究の概要 小学校2,3,4年生における比例的推論を促進するためのカリキュラム編成のための方針をコンポジットユニットの構成の仕方,倍比例の見方の育成,そしてそれにかかわる図的表現,式の利用の観点から整理し提案した。 そのために,まず,昭和33年の学習指導要領にかかわる比例的推論に関する指導の概観と最近の先行研究,そして3年生へのインタビュー調査をもとに小学校中学年での比例的推論の指導に関する研究とカリキュラム開発の必要性を指摘した。次に,2,4,6年生でのデザイン・リサーチを実施した。6年生では比例的推論の特徴をとらえるために,比例,2乗に比例する関数,相似にかかわる題材での活動の系列を組織した。また,2年生では,比例的推論の素地の明確化をかねて,測定活動の一部として乗法の指導前に比例的推論にかかわる活動の系列を組織した。最後に4年生では,中学年で目指すべき比例的推論にかかわる活動の系列を明確にするために,コンポジットユニットの構成,倍比例の見方の育成の観点からの活動の系列を組織し,授業を展開し,子どもの学習過程の評価を行った。
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