研究概要 |
加速劣化試験は、新製品が市場に出る前までに寿命を推定するための唯一の手段である。しかし、思わぬ劣化要因が発生するため劣化は促進される傾向にある。出荷前での加速劣化寿命予測と使用環境下でのinspectionによる余寿命を比較した場合、両者の乖離は大きく、加速劣化試験そのものの意義が問われている。まず、両者の試験法を結びつける方法として提案されているcumulative exposure model (Nelson,1990)を用いてパラメータ推定についての実現性について調査を行った。 パラメータ推定については、1)故障履歴(一定期間内に故障した個数やさらに正確には故障時間)を計算に取り込むことができれば、あらかじめ設定しておいた「べき乗則」のパラメータを推定できることが分かった。2)しかし、故障履歴が分からず、生き残った製品を用いての破壊試験によって「べき乗則」のパラメータを推定するには、条件付き確率による数値計算上の不安定さが確認され、この状態のときには推定不能の可能性が高いことが判明した。従って、今後はcumulative exposure modelそのものを見直し、新しいモデルの提案の方向性を探る。 なお、この研究成果の実績は平成15年度開催の国際会議*で公表済みである。 *H.Hirose : The Relation Between Accelerated Life Tests by Brand-new Insulation and Step-up Voltage Tests by Working Insulation,"7th International Conference on Properties and Applications of Dielectric Materials (ICPADM2003)",pp.978-981 (June 1-5,2003,Meitetsu New Grand Hotel, Nagoya, Japan)
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