研究課題
加速劣化試験は、新製品が市場に出る前までに寿命を推定するための唯一の手段である。しかし、思わぬ劣化要因が発生するため劣化は促進される傾向にある。出荷前での加速劣化寿命予測と使用環境下でのinspectionによる余寿命を比較した場合、両者の乖離は大きく、加速劣化試験そのものの意義が問われている。先に、両者の試験法を結びつける方法として提案されているcumulative exposure model(Nelson,1990)を用いてパラメータ推定についての実現性について調査を行うことから始めた。検討の途中、このモデルを用いたパラメータ推定については種々の困難性があることが分かり、一定期間使用後のinspectionから得られたサンプルを用いて破壊強度を求めるための「上昇法による破壊値推定」の基本的な問題から取り組まなければならないことが分かった。そこで、16年度は主にこの基本的な問題の解決について精力的に検討を行い、多くの研究成果を得ることができた。その最も重要なポイントは、上昇法試験データ解析の新しい知見は、背後に種々の確率分布を仮定したときに、得られた見かけ上の破壊値をそのまま利用するのではなく、背後の確率分布にフィットするパラメータを使うことで普遍性が得られるということである。加速試験データとinspectionデータとを組み合わせた新しいモデルについて知見を得るには、今年度得られた成果が重要な基礎資料となる。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
IEEE Trans., Dielectrics Electrical Insulation Vol.11, No.3
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