研究概要 |
(1)リノール酸を酸素存在下で7時間処理し,過酸化リノール酸を調製した。調製した過酸化リノール酸と2価鉄イオンとを反応させ,生成するフリーラジカルをスピントラップ剤4-POBNをもちいて捕捉した。これらのスピンアダクトをHPLC-ESRをもちいて分離すると,少なくとも14種類のピークが分離された。これらのラジカルアダクトの構造決定をHPLC-ESR-MSをもちいておこなった。その結果7-carboxyheptyl radical, pentyl radical,7-carboxyldihydroxyheptyl radical,1,5-dihydroxypentyl radical,8-carboxy-1-hydroxyoctyl radical,7-carboxy-1-hydroxyheptyl radical,1-hydroxypentyl radical,1-hydroxyhexyl radicalが同定された。 (2)リノール酸の過酸化物である,13-hydroperoxy-9,11-octadecadienoic acidと種々のヘム蛋白質(Methemoglobin, Oxyhemoglobin, Metmyoglobin, Oxymyoglobin,との反応で生成するラジカルの同定とその生成機構を検討した。好気下で反応させると,7-carboxyheptyl radicalが生成し,嫌気下で反応させると7-carboxyheptyl radicalとpentyl radicalがほぼ1:1程度生成した。嫌気下で13-hydroperoxy-9,11-octadecadienoic acidと2価鉄イオンを反応させたときはほぼ100%pentyl radicalが生成したことから,ヘム蛋白と2価鉄イオンとは異なる機構で7-carboxyheptyl radical生成を触媒することが分かった。 (3)1,2-dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphochlineと大豆リポキシゲナーゼとの反応溶液中に生成するラジカルをスピントラップ剤4-POBNをもちいて捕捉し,ESRで検出した。
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