研究課題
本年度の研究は、前年度に引き続き「出典調査・研究班」(芳賀・谷口・白井)と「出典考証班」(向嶋・松本)の二班に分かれて行った。二班は研究支援者を交えて、月に平均二度の研究会を開き、双方の成果について討議を重ねつつ、データの入力を開始した。各班の主要な分担は以下のごとくである。「出典調査・研究班」は前年度から継続して行ってきた『萬葉集』歌一首ごとの出典調査を踏まえて、『萬葉集』全歌において中国文学・仏典に典拠を持つ語が一覧できる資料の作成を目指した。資料の作成にあたっては、二年度にわたる出典調査のなかで、当該研究においては『萬葉代匠記』(初稿本、精撰本)が広範かつ包括的に出典の指摘を行っていることから、『萬葉代匠記』の指摘を基盤とし、改めて個々の指摘について、出典の巻数、引用文の確認調査を行った。そのうえで『萬葉代匠記』の指摘を現代においても有用かつ利便性を保持させるために、被注語、典籍名、引用文など複数の情報から検索しうるようにデータを作成した。さらには通時的観点から『古今和歌集』についても、『代匠記』と同様に位置づけうる『古今余材抄』の出典指摘に基づいて、中国文学の受容の様相が一覧しうる資料を作成し、『萬葉集』の受容状況と比較対照しうる環境が整備できたものと考える。いっぽう「出典考証班」が前年度に考証した『萬葉集』の題詞・左注・表記に見える特異な漢語についての研究成果は、資料の備考欄に要約的に記入することによって、今後の研究の指針とし得たと考える。そのほかにも研究会で得た知見に基づいて、研究分担者が個別に漢語に関わる論文を公表した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (7件)
国語教室 79号
ページ: 54-59
文藝言語研究・文藝篇 46巻
ページ: 75-90
同志社国文学 61号
ページ: 71-84
ページ: 91-118
萬葉 190号
ページ: 11-30
日本語と日本文学 39号
ページ: 1-21
説話論集 14集
ページ: 239-278