研究課題
1 言語類型論で研究されているカテゴリーの検討を続けた。初期新高ドイツ語文法記述へ適用できるものとしては動詞に関するカテゴリーが中心となるが、今年度は、動詞領域のみではなく名詞領域にも関するカテゴリーである「数」に関するドイツ語データの分析を進めた。初期新高ドイツ語のみではなく、中高ドイツ語から現代ドイツ語に至る数の不一致に関するデータをある程度整理することができた。また、動詞領域から名詞領域への変化をもたらす「名詞化」という現象についても、理論的な分類枠をまとめることができた。歴史的変化を説明するためには「生産性」という概念が重要であることも明らかになったが、生産性の変化が生じる仕組みの解明は、今後の研究を待つ必要がある。2 分析対象とする初期新高ドイツ語のテクストとしては、主に既存のテクストデータを利用したが、独自に作成した小規模なハンス・ザックス謝肉祭劇のテクストコルプスも、データ分析のモデルとして使用できた。しかしさまざまな文法情報を付加した大規模なテクストコルプスを作成するのは、大規模なプロジェクトが必要であると思われる。3 形態論・統語論・意味論に関する、最近ドイツで出版されている初期新高ドイツ語文法記述の検討を進めた。4 この研究の一部について、「名詞化文体」と「名詞の複数形の歴史的変化」を中心に日本独文学会秋季研究発表会でのシンポジウムで紹介し、学会員から助言を受けた。
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"getriwe an alles wenken" Festschrift fur Shoko Kishitani zum 75. Geburtstag (Hrsg. von Roland Harweg, Franz Hundsnurscher, Eijiro Iwasaki)
ページ: 188-195