研究概要 |
1.ノート型パソコン及び録音機、ビデオレコーダーなどを購入し、研究代表者がタイ国スリン県を中心として、クーイ語の音声、音韻を中心とした調査を行った。 2.同県はクーイ語の他、ラーオ語(タイ語東北方言)、スリン・クメール語の多言語使用地域でもあるため、現地の小学校、中学校を訪問し、多言語使用の実態についての調査を行った。その結果、小学校、中学校ともに、教師が標準タイ語の他、その出身によってクーイ語、ラーオ語を日常的に用いて生徒たちと接していること、生徒同士は日常的にクーイ語で会話を行っていることなど、多言語使用の実態について、興味深い事実が観察された。特に,他地方出身の教師を除けば,地元出身の教師がクーイ語あるいはラーオ語の使用について,むしろ積極的であること,その結果,土着の母語に対して生徒たちが否定的な感情を抱くことがなく,土着語の使用をためらわないことが印象的であった。 3.現地で収集した録音、録画資料をもとに、クーイ語とタイ語とを併用する場合のコードスイッチングについて,研究代表者が談話資料の解析を行った。特に改まった内容を語る場面では,(クーイ語で話すようにとの依頼がある場合であっても)どうしてもタイ語を使用する傾向があることがわかった。 4.現地で収集した録音資料に基づき、研究分担者が実験機器を用いて、主として用いて音響的な分析を行い、さらにその音韻に関する記述を行った。モン・クメール系の言語において,特に音声的な特徴であるbreathy(気息)母音の生じる音韻環境と,語頭の子音連続を中心とした記述と本的な分析を行った。
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