外国語としてのスペイン語教育として、特定地域に偏らない基礎的標準スペイン語モデル研究を、メキシコ・スペイン語を加えさらに進める。テレビ会議システムを利用して、スペイン語教育の中でコミュニケーション能力養成シラバスも組み入れ、内容およびコミュニケーション能力両方のレベル高度化をめざす方法を研究、同時に遠隔通信システムの技術面運用面で、スペイン語教育へ応用することの有効性や問題点を明らかにする。この二つの目的の内、前者は、現地調査等により資料収集をした。資料整理、成果発表は、来年度に継続する。後者は、本学スペイン学科2年次対象「基礎スペイン語作文」受講者からの希望者約30名とメキシコ、ラスアメリカス大学日本語授業受講者中心の約20名が、遠隔通信によるコミュニケーションを2003年10、11月、計3回実施した。準備の時間、オンライン実施時間、まとめの時間の三つの授業を繰り返し、スペイン語作文と同時にコミュニケーションの指導を行なった。学生たちには、オンライン面談において相手側から得た情報をもとに文章を執筆し、それを小冊子にまとめることを課し、自己紹介と、両国の食べ物、音楽、アニメ、祭りのテーマについて文章をまとめ56ページの小冊子を完成させた。 参加学生対象にアンケート調査を実施し、遠隔合同授業の利点と課題を考察した。同年代の母語話者とのスペイン語による対話に喜びを感じた学生がいること、また、うまくやりとりしている学生を見て自分もそのようになりたいと感じもっと勉強したいと書いた学生がいるといったことなどに利点が見出される。一方、準備が文章に書くところまでにとどまり、読み上げるだけの者がいたこと、相手の言っていることを十分理解するには語彙力、聴解力が不足していて、ことばのやりとりが難しかったこと、その他、予算が限られていたため施設面での不十分さなどが今後の課題である。
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