本研究の目的は、重度・重複障害児を対象として、共同注意行動が形成される前後における発達評価、とその発達支援のプログラムを開発することであった。 重度・重複障害の子どもには、その発達段階が1歳程度又は1歳以下の場合があり、共同注意関連行動を参考にその発達項目を整理することで、1歳以下の発達評価項目と発達支援、また1歳程度の発達評価項目と発達支援について検討することとした。 平成15年度は、共同注意関連行動を手がかりとした重度・重複障害児の発達評価項目を検討した。2項関係及び3項関係における共同注意関連の30項目からなる行動評価の改訂版(大神2001)を基礎としながら、遠城寺式発達検査と新版K式発達検査の項目を参考に、6歳までの学習評価項目を整理した。研究の対象は、1歳前後が中心と考えていたが、重度・重複障害児の評価を考えた場合に、まず全体の評価の枠組を整理することが重要と考えたからである。 また、学校における指導を前提とすると、発達の領域ではない教科の枠組で、共同注意行動を整理することが役に立つと考え、それで整理できない点を発達の領域で整理した。評価の指標については、Equals(1998)Baseline Assessment Scheme & Curriculum Target Settingを手がかりに、筑波大学桐が丘養護学校の研究グループの協力を得て、国語(聞く、話す、読む、書く)、算数(測量、図形、探索、数)、健康、体育(動作)、生活スキルで整理した。 今後は、引き続き事例を評価しながら評価の指標の妥当性を検討し、実際の指導プログラムを検討することが課題である。
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