本研究の目的は、重度・重複障害児を対象として、共同注意行動が形成される前後における発達評価とその発達支援のプログラムを開発することである。重度・重複障害の子どもには、その発達段階が1歳程度又は1歳以下の場合があり、共同注意関連行動を参考にその発達項目を整理することで、1歳以下の発達評価項目と発達支援、また1歳程度の発達評価項目と発達支援について検討することとした。 平成16年度は、共同注意関連行動を手がかりとした重度・重複障害児の学習評価のために、6歳までの学習評価項目を整理した。その後、引き続き重度・重複障害児の事例を評価しながら、評価の指標の妥当性を検討し、実際の指導プログラムを検討する計画であった。しかしながら、本務との関係で事例検討の計画を立案し、調整する段階に留まっている。 なお、九州大学主催の「発達コロキウム2004 Development in Culture」において、Dr.philippe Rochatと彼の発達段階である(1)self-other differentiation、(2)reciprocation、(3)expectation、(4)co-constructionについて協議した。また、日本特殊教育学会第42回大会自主シンポジウム「動作とコミュニケーションの相互発達」において、2項、3項関係が形成される上での動作や情動の機能について協議した。2項、3項関係は、コミュニケーションの根底として形成されるものである。よって、その形成における共同注意の重要さと指導プログラムとして動作の位置付けをどう考えるかは今後の重要な課題である。
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