今年度は、Tasoevの連分数とその周辺問題について予想以上の成果を得た。 まず、Tasoevの連分数そのものの一般化に成功し、より広範囲な領域の連分数についての扱いが可能になった。これによって、いわば特殊な問題に思われていたTasoevの連分数が、既知の様々な連分数と関連づけて考えることで体系化の道を大きく開いたと言える。 また、今年度の主要なテーマであったTasoevの連分数をHurwitzの連分数に対応させたものを導き出すことに成功した。すなわち、一般化されたTasoevの連分数を幾何級数的なものに捉えることにより、それを算術級数的なものに変換するような方法で、対応するHurwitzの連分数を得ることが出来た。またその逆の原理を利用して、既知のHurwitzの連分数からそれに対応するまた新しいTasoev型の連分数を得ることが出来た。Hurwitzの連分数は、オイラー数eの型、tanh型、tan型の3つの型のいずれかに分類されるが、まだ見つかっていなかったe型のTasoev型連分数についても解明が進み、次年度には完成することが期待される。 また、より一般の自然な関数である超幾何学級数の値について、擬似循環型の一つであるHurwitz型の連分数に近い形で、様々な連分数展開を与えることも出来た。今までは一般連分数での展開はよく知られていたが、単純連分数での展開は殆ど知られていなかったのである。 更に、Tasoevの連分数との関連で、連分数による近似のギャップ問題、連分数の近似分数について成り立つ周期的な性質、非斉次ディオファントス近似問題を連分数展開を拡張した非斉次連分数展開によって解決する方法等について著しい結果を得た。
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