研究概要 |
モジュラー曲線X_0(N)の定義方程式の解に対応する楕円曲線の同型類を決めるために,X_0(N)の関数体の定義方程式を与える生成元によるJ-不変関数の有理表現を引き続き研究した.具体的なレベルNに対して,有理表現を得るために用いた関数についての実験データから予想される結果に証明を与えるために,理論的考察を行った.特にそれらの関数の極,零点の位数に現れる数論的関数の性質について研究し,当初に比べ,必要となる関数の範囲を絞り込むことができたが,さらに計算的手法から離れた,より一般的な取り扱いができるように様々な可能性を試している.これまでにこの研究で得られた結果を国際的なプレプリント・サーバーarXiv.orgに下記の論文として投稿した. Representation of modular invariant function by generators of a modular function field, arXivmath.NT/0504261. また,応用として,モジュラー関数体の生成元によるJ-不変関数体の有理表現を利用して,有限体上に巡回的有理点群を持つ楕円曲線を系統的に構成することを博士課程の学生の研究テーマとし,共同研究により,次の2件の結果を得た. N.Nakazawa ; Construction of elliptic curves with cyclic groups over prime fields, to appear in Bulletin of the Australian Mathematical Society. N.Ishii and N.Nakazawa, Representation of the modular invariant function as a polynomial of a modular function(投稿中).最後の論文はDMIS Research Reports 05-3として発表した論文に,11-等分点でのガロワ表現についての結果を新たに加えたものである.
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