研究課題/領域番号 |
15540094
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
吉岡 朗 東京理科大学, 理学部, 教授 (40200935)
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研究分担者 |
大森 英樹 東京理科大学, 理工学部, 教授 (20087018)
原 民夫 東京理科大学, 工学部, 教授 (10120205)
前田 吉昭 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (40101076)
宮崎 直哉 慶応義塾大学, 経済学部, 助教授 (50315826)
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キーワード | 変形量子化 / Deformation Quantization / star product / symplectic geometry / quantization / Hamiltonian mechanics / gerb / Lie group |
研究概要 |
ケーラー多様体における収束する変形量子化の構成について、ひとつの方向性を与える具体例が得られた。すなわち、 (1)ワイル代数において、ワイル順序表示を用いることにより、ワイル代数と多項式代数の線形同型写像が得られることが得られたが、この線形同型により、ワイル代数の自己同型写像が自然に多項式代数の自己同型写像を誘導することがわかる。これより、2生成元をもつワイル代数の自己同型写像の群と多項式代数の自己同型写像の群の関係が得られた。 (2)一方、1次元複素射影空間において、複素正準座標系を具体的に求めた。これは、ケーラー構造から定まるポアソン括弧に関して、標準的な複素座標とその双対座標からなる局所座標系である。 さらに、これらの複素正準座標系の座標変換が、双対座標系に関し多項式次数であることが確かめられた。 複素正準座標系において、モイアル積を用いて変形量子化を考えることができるが、上に述べたように、複素正準変換が双対座標系に関して多項式次数であることから、(1)で与えた関係を用いて、複素正準座標系の座標変換からモイアル積によるワイル代数の変換が誘導できる。これらより、1次元複素射影空間に局所モイアル積の張り合わせによる、形式的冪級数ではない、パラメータについて収束する変形量子化による非可換代数が得られた。これはさらに、対称性のあるケーラー多様体に適応することが可能であると見込まれ、形式的冪級数ではなく、収束する変形量子化による非可換代数のひとつの構成法を示唆しているといってよい。 また、これらの議論を、関数空間を設定し、非可換位相代数として発展させることにより、作用素による非可換代数の構成法との比較をすることが課題として認識される。
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