研究課題/領域番号 |
15540189
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
市原 完治 関西大学, 工学部, 教授 (00112293)
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研究分担者 |
福島 正俊 関西大学, 工学部, 教授 (90015503)
楠田 雅治 関西大学, 工学部, 教授 (80195437)
千代延 大造 関西学院大学, 理工学部, 助教授 (50197638)
栗栖 忠 関西大学, 工学部, 教授 (00029159)
平嶋 康昌 関西大学, 工学部, 助教授 (80047399)
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キーワード | 双曲的リーマン多様体 / ブラウン運動 / 結晶格子 / 可逆的マルコフ連鎖 / 離散群 / spherical mean / 保型関数 / 大偏差原理 |
研究概要 |
市原によって行われた研究について報告する。 (1)離散群Γがロバチェフスキー平面H^2に作用し、その基本領域がコンパクトになっているものとする。このときH^2上のΓ-不変な正値関数に基づくdistorted Brownian motionのスペクトルの下端が、元のBrownian motionに対応するものに等しいか叉はそれ以下であることを示した。証明は、Margulis-Knieper-Ledrappier等によるgeodesic flowに基づく議論により得られたspherical meanに関する一つの結果を利用してなされる。下からの評価はもっと微妙で、困難であるが、上のspherical meanに関する結果の適用範囲の拡張が可能ならば、distorted Brownian motionのスペクトルの下端が元のBrownian motionに対応するものに等しいことが証明できる。 (2)ベキ零群、結晶格子などその体積の増大度が多項式オーダーである集合上の周期的マルコフ連鎖の固定端運動に対する大偏差原理は証明されたが、この原理を満たす具体的例でそのスペクトルの下端が正になるものの存在は自明ではない。結晶格子の一つの典型例である2次元ダイヤモンド格子(六角格子)上の可逆な周期的マルコフ連鎖で、そのスペクトルの下端が正になる具体例を構成した。この場合は、有限格子の最大アーベル被覆になり、この観点からの上記のタイプのマルコフ連鎖の系統的構成が期待できる。また、三角格子は最大アーベル被覆ではなく、これに対しては個別に例の構成が必要になる。今後、一般の結晶格子、ベキ零群で上記の様なマルコフ連鎖の具体例の構成が重要になると思われる。
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