研究概要 |
中性子、陽子、Λ粒子、Σ^-粒子、電子、電子ニュートリノから構成される超新星物質の状態方程式を、標準核物質密度以上の広い領域に渡って導出した。この超新星物質は、レプトンの混在度(y_1)とエントロピー(S)の値によって特徴付けられ、(y_1=0.4,S=1.5)と(y_1=0.3,S=1.0)の2つの場合について中性子星モデルの計算を実行し、以下の結果を得た。 (1)いずれの場合も、状態方程式の硬化のために、誕生時の中性子星の最大質量が太陽質量の1.84倍となり、通常の冷えた中性子星の最大質量(太陽質量の1.82倍)よりも大きくなる。 (2)誕生時の熱い中性子星が冷えていく段階では、バリオン数が保存されるために、冷えた中性子星の最大質量は温度零の状態方程式から予想される最大質量よりも小さくなり、太陽質量の(1.75-1.79)倍へと減少する。 (3)中性子星内部の密度分布は、冷えるとともに中心付近が平坦になり、表面付近で急激に減少するようになる。この傾向は、冷えるにつれて中心密度が上昇して半径が縮むという変化をもたらすハイペロンを含まない場合と対照的である。中性子星内部の粒子構成も、冷えるにつれて、中心部での陽子の混在度が減少し、Σ^-粒子の混在度が増加する。 (4)熱い中性子星が形成される過程とそれが冷えて通常の中性子星に変化する過程で放出されエネルギーは、1987Aからのニュートリノ・バーストの観測から評価された値と同程度の値になる。 レプトンの混在度やエントロピーの値が異なる場合の状態方程式、ならびに、質量が最大質量よりも小さい場合を現在検討中である。
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