研究概要 |
本年度は4月に北海道大学で追加調査実施,6月に北九州自然史博物館で中間報告を学会発表,引き続き秋吉台で模式産地の現況調査,11月に東北大学で標本調査実施,引き続き南部北上帯の模式産地の現況調査実施,2月に北海道大学でタイプ標本の追加調査を実施した。 これまでの北海道大学総合博物館での調査結果を総括したところ,未確認標本は28種となった。標本の保存率はきわめて高いといえる。見つからなかった標本の記載年代に偏りがないことから,貸し出しなどの理由があって移動している可能性があり,東北大学との標本貸借などを追跡すれば,ほぼ全容が明らかになるものと期待される。 東北大学総合学術博物館で調査を行った結果,未確認標本は26種を残すのみとなった。なお,分類群によっては,北海道大学にある可能性が高いものもある。標本の保存率はきわめて高いといえる。Yabe and Hayasaka (1915,1916,1920)による標本では,MicheliniaとRomingeriaだけまだ見つかっていない。床板サンゴのFavositesなどは構造が単純で判断が難しいが,ターゲットを絞って捜せば見つかる可能性は高い。 これらの調査結果を踏まえて平成17年6月末の古生物学会で東北大学での成果に絞って成果を公表することにした。東北大学に収蔵されているYabe and Hayasakaが記載図示した標本は,新種として記載はあるが図示されていない種(15種),図示されているが記載がない(8種),既報種に同定され記載はあるが図示されていない種と,図示されているが記載がない種の,計4種類に分類できる。このうち第1段階として,記載が1915,16年になされているが図示されていない標本を,現代的情報とともに図示するために具体的な準備を開始した。既に該当する15種のうち13種についてタイプが特定できた。
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