研究概要 |
本年度は、昨年解決できなかったヒトの好中球の活性酸素産生能と貧食能との関連性を同時分析できるように測定条件の設定を進めた。活性酸素産生能の検出試薬としては、従来のHydroethidine(HE)のほかにDihydrorhodamine(DHR)-123,Dichrolo Fluorescein Diacetate(DCFH-DA)の至適濃度まで含め検討したが、DHR-123はHEより感度に優れ、好中球のmyeloperoxidaseの阻害剤であるNaN3を共存させることにより全血のままでも高感度に検出できるようになったが、DCFH-DAは感度不良のため使用を断念した。貪食能の粒子については、黄色ブドウ球菌やZymosanをFluorescein isothiocyanate(FITC)で標識して用いてきたが、生菌を培養し、蛍光標識する手順が複雑で調整ごとにばらつきが大きく、またZymosanは好中球を凝集させ、好中球のゲートが偏倚してしまうため、フローサイトメトリー法の測定には適さないことが判明した。そこで、蛍光色素を含む径1μmのCarboxylate Microspheresを用いたところ、事前調整の必要もなく、良好に貪食能を測定することができた。また、Carboxylate MicrospheresはHE、DHR-123と組み合わせても指標間で干渉が起こらないように設定することが可能となり、貪食能と活性酸素産生能の同時分析も可能となった。これらの検討により、フローサイトメトリー法のmulti-channnelな解析技術を活用し、従来なされてこなかった分析・評価法が確立できるようになった。
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