平成15年度の研究成果 免疫状態が低下した担癌患者に活性化自己T細胞を移入することによるQCLの改善を標準スケールを用いて解析するために、QOL評価の国際的スケールであるFACTの中で特に生物学的治療におけるスケールであるFACT-BRMを本邦で使用するための日本語版翻訳作業を行った。FACT-BRM英語原版を米国版権元が指示する以下の翻訳手順に従い、日本語に翻訳した。 (1)FACT-BRM英語版を3名のnative Japaneseにより日本語に翻訳した。翻訳者は海外留学経験のある医師で免疫治療、緩和医療に詳しい者を選択して依頼した。 (2)日本語翻訳文を翻訳者と別の評価者が総合評価した。評価者は海外留学経験のある医師で免疫治療、緩和医療に詳しい者を選択して依頼した。 (3)日本語翻訳文と翻訳文評価書を合わせて米国版権元へ送り、米国版権元の指定したnative Americanにより日本語翻訳文を英文に逆翻訳した。 (4)米国版権元にて逆翻訳された英文と原版を比較して、その妥当性を検討した。 (5)以上により作成されたFACT-BRM翻訳原案の適切性及び妥当性を評価するために、免疫療法実施がん患者15名に対してアンケート調査のパイロット試験を行い、その結果を評価した。平成16年3月の時点で最終版評価作業中である。 担癌患者のQOL状態が免疫学的にどの要因に起因するかを解析するために、癌患者の免疫状態をリンパ球数、サブセット解析、細胞傷害性試験、サイトカイン産生試験にて検討した。その結果、担癌患者においてリンパ球数の減少、NK細胞比率の減少、NK細胞の傷害活性低下、サイトカインのTh2偏移が確認された。今後はこれらの因子とQOLの各指標との相関及び活性化T細胞移入により、どのパラメーターが変化するのかを解析する予定である。
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