免疫状態が低下した担癌患者に活性化自己T細胞を移入することによるQOLの改善をQOLアンケート調査と免疫学的解析にて研究している。平成16年度では国際的QOL調査票としてFACT-BRM日本語版を開発した。平成17年度ではFACT-BRMの完成に先立ち、現在QOL調査票として普及しているQOL-ACDを用いて進行癌患者に対してアンケート調査を実施し、進行癌患者におけるQOLスコアと末梢血リンパ球比率との関係を検討した。さらに、活性化自己T細胞を2回全身投与した前後におけるQOL-ACDスコアの推移を解析した。進行癌患者320名に対してQOL-ACD調査票によるアンケート調査と同時に末梢血血液検査を実施し、末梢血中リンパ球比率を測定した結果、末梢血リンパ球比率が20%以下の患者139名(43%)ではQOLスコアが75%以下に低下しており、末梢血リンパ球比率が10%以下の患者27名(8.4%)ではQOLスコアは60%以下に低下していた。このQOLの低下は活動性、身体状況を示す項目1〜11で著明であり、精神状態、社会性を示す項目12〜20ではリンパ球比率にあまり関わらずにスコアの低下が認められた。活性化自己T細胞を2回全身投与した後では、78%の患者で末梢血リンパ球比率が増加しており、54.7%の患者でQOLスコア合計値の上昇が認められた。以上の結果より、進行癌患者では末梢血リンパ球比率が低下しており、QOLスコアの低下が認められたが、活性化自己T細胞の投与により末梢血リンパ球比率が増加して、QOLスコアが改善することが確認された。現在、新しく開発したFACT-BRM日本語版を用いたQOL調査と末梢血リンパ球比率の測定を進めており、また活性化自己T細胞の免疫学的特徴と投与前後での患者末梢血中リンパ球の免疫学的解析を進めている。
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