研究課題/領域番号 |
15591039
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研究機関 | 国立病院機構名古屋医療センター |
研究代表者 |
山崎 鶴夫 国立病院機構名古屋医療センター, 臨床研究センター・止血血栓研究部・凝固・線溶異常研究室, 室長 (00282202)
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研究分担者 |
浜口 元洋 国立病院機構名古屋医療センター, 臨床研究センター・止血血栓研究部, 部長
斎藤 英彦 国立病院機構名古屋医療センター, 院長 (20153819)
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キーワード | Factor V / Factor V R2 haplotype / 多型 / 静脈血栓症 / 危険因子 / 抗凝固活性 |
研究概要 |
Factor V R2 haplotype(以下FV R2)は、血液凝固第V因子(以下FV)の多型であり、人類の歴史上、その起源は非常に古いと考えられている。ヨーロッパ系白人、およびアフリカ系黒人の両方においてFV R2の存在が確認されており、本邦においてもFV R2の存在が予想されていたが、その頻度等は明らかではなかった。また、現在までに報告された複数のマススクリーニングの結果、FV R2は静脈血栓症の危険因子であるという説が有力視されているが、これと矛盾する報告も散見され、FV R2と血栓症の関連は明確ではなかった。 研究分担者らは、インフォームドコンセントを得た後、健常人ボランティアよりゲノムDNAの提供を受け、日本人におけるFV R2の遺伝子頻度を解析した。解析を行った88対立遺伝子中、9対立遺伝子にFV R2を認め、本邦における遺伝子頻度は約10%と判明した。また、研究分担者らはFV R2と静脈血栓症の関連を分子生物学的に解明するため、in vitro発現系を用いた発現実験、およびリコンビナントFV R2分子を用いた機能解析を行った。発現実験の結果、FV R2分子は野生型FV分子と比較して発現量が低下しており、細胞内輸送が障害される結果、細胞内で分解処理されることを明らかにした。機能解析では、FV R2分子の活性化と不活性化には問題は見出されなかったが、抗凝固活性(APC cofactor活性)が低下しており、FV R2に含まれる特定の変異の組み合わせ(M385T+D2194GまたはH1299R+M1736V)が抗凝固機能に影響を与えることを見出した。また、FV R2分子における糖鎖付加の異常に関して興味深い結果を得ており、その分子生物学的メカニズムと静脈血栓症との関連について、さらに詳細な研究を進める予定である。
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