研究概要 |
平成15年度における主たる成果は以下の通りである. 1.SHOX遺伝子発現調節領域の同定 われわれは,SHOX半量不全に特徴的なLeri-Weill型軟骨骨異形成症患者40例以上を解析し,33例においてSHOXを含む微小欠失を,3例において遺伝子ない変異を同定した.その後,残る4例においてSHOX周辺の異常と別の遺伝子,(HOX遺伝子群)変異を検討した.その結果,4例においてSHOX遺伝子から3'方向へ約150kb離れた39kb領域が共通して欠失していることを見いだした.さらに,SHOX完全欠失に特徴的なLanger型中肢骨短縮症患者においても,1個のX染色体構造異常と正常X染色体における同領域の微小欠失が同定された.この成績は,同領域にSHOX遺伝子発現調節領域が存在することを示唆する. 2.SHOX半量不全と正常性腺機能を有する患者31例における成長パターンの検討 われわれは,SHOX半量不全と正常性腺機能を有する女性患者31例の成長パターンを解析した.これらの女性は,思春期から明瞭となる成長障害を呈していた.また,この低身長は四肢短縮を伴ったが,頭囲や手足の長さは正常範囲であった.この計測学的成績は,ターナー症候群女児のそれに類似するが四肢短縮はより強度であり,しながって,ターナー症候群女児の成長パターンの特徴がSHOX半量不全と,性腺エストロゲン分泌不全により相対的に保存された四肢長によることを示唆する. 3.リンパ管形成遺伝子の限局化 Turner症候群の軟部組織徴候と内蔵奇形の責任遺伝子と推測されるリンパ管形成遺伝子をX染色体短腕部分欠失患者47例とY染色体短腕部分欠失患者18例の遺伝子型-表現型解析に基づいてX染色体短腕上の約9Mb領域とY染色体短腕上の約2Mb領域に限局した.さらに,Y染色体微小欠失を有する患者の解析から,Y染色体短腕上のリンパ管形成遺伝子を,さらに小さい範囲に限局し,候補遺伝子と見做しうる3個の発現シークエンス座位を同定した.
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