研究課題/領域番号 |
15591221
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273632)
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研究分担者 |
紙野 晃人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40307955)
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294068)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
谷井 久志 三重大学, 医学部, 講師 (40346200)
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335357)
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キーワード | アルツハイマー病 / 小胞体 / ストレス / Aβ / APP / カスペース / プロテオソーム / アポトーシス |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)の基幹病理は、アミロイド蛋白(Aβ)の脳内への蓄積である。本研究ではAβの蓄積と小胞体(ER)ストレスの関連について検討を進めた。ERストレスのトランスデューサーのひとつであるPERKのノックアウト細胞では、野生型細胞に比し、分泌されるAβ42の比率上昇が観察された。また、アミロイド前駆体蛋白(APP)発現細胞にERストレスを加えると、totalAβの産生は低下するが、Aβ42の比率上昇が認められた。これらの事実より、ERストレスはAPPのプロセッシング特にγ切断活性に影響を与えることが示唆された。 一方、培地中にAβを添加せしめた神経培養細胞ではERストレス反応(UPR)が観察され、ERに局在するカスペース12あるいはカスペース4(我々の検討からカスペース12のヒトホモログと確認された)の活性化によるアポトーシスが認められた。更に、スウェーデン型アミロイド前駆体蛋白APP(APPsw)と野生型のAPP(APPwt)をそれぞれ発現させた培養細胞の検討によると、APPsw細胞ではAPPwt細胞に比し、プロテオゾーム活性の低下とERストレスが観察され、Aβ産生の上昇がERストレスを惹起することが示唆された。 以上の結果から、ERストレスはAPPのプロセッシングに影響を与え、Aβ42比率の上昇を来し、一方でAβ蓄積はERストレスとそれに伴うアポトーシスを引き起こすことが示唆され、ERストレスとAβ蓄積は密接に関連し、ADの神経変性を進行させると考えられた。
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