研究概要 |
前立腺癌において、血清Insulin-like growth factor-I (IGF-I)濃度と癌の発症リスクが相関し、またIGF-Iと結合し複合体を形成するInsulin like growth factor bindingprotein-3 (IGFBP3)と逆相関することが疫学的研究により示されている。このことから、IGF-I遺伝子を中心とした関連遺伝子群の多型が非アンドロゲン経路で癌の発症・進展・再燃に関与する可能性が示唆される。今回の研究では、日本人前立腺癌患者、前立腺肥大症患者、および対照健常人の末梢血リンパ球から抽出されたDNAを用いてIGF-I関連遺伝子の遺伝子多型と疾患の発症リスクとの関連を検討し以下の知見を得た。 IGF-I遺伝子プロモータ領域のCA繰り返し多型をPCR法を用い前立腺癌患者303例、前立腺肥大症219例、正常対照266例について解析を行った。CA繰り返し配列は、15-22回の繰り返し配列を示した。特に、19CA繰り返し配列をホモで有する例では癌発症のリスクを有意に高かった(age-adjusted OR 3.36,95%CI=1.32-9.46,p=0.012)。癌のステージと腫瘍の悪性度との有意な相関は認めなかった。 IGF-I遺伝子プロモータのCA19回繰り返し多型は、日本人において前立腺癌の発症リスクを高めると考えられた(Int J Oncol.26,225-231,2005)
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