研究課題
アルカリ土類金属シリサイドの一つである半導体BaSi_2は、禁制帯幅が約1.1eVであり、光吸収係数が結晶Siよりも約百倍大きいと予想されるため、新しい薄膜太陽電池材料として注目している。しかしながら、薄膜の成長条件やその物性は殆ど分かっていない。本研究では、Si(111)基板上に分子線エピタキシー法(MBE法)を用いてBaSi_2膜を形成し、エピタキシャル成長の条件を確立するとともに、BaSi_2薄膜の光学・電気特性を評価した。結晶成長の条件から、450度から750度の広い成長温度範囲にわたり、熱反応堆積法により形成した膜厚10nm程度のBaSi_2テンプレートを用いることで、[100]高配向のBaSi_2膜を形成できた。X線ピークの半値幅、表面の平坦性から、成長温度としては600度付近が最適であることが分かった。さらに、X線極点図測定から、Si(111)基板上に3回対称のマルチドメイン構造となって面内回転してBaSi_2が成長していることが分かった。電気特性を評価したところ、室温でn型を示し、キャリア密度は5×10^<15>cm^<-3>、移動度は820cm^2/Vsであった。次に、BaSi_2の格子定数を変調して、BaSi_2の禁制帯幅を制御するバンドエンジニアリングを目指すため、BaSi_2のBaの一部を等電子的なSrに置換した薄膜の成長を行った。MBE法によるBaSi_2薄膜の成長温度である600度にて成長を行ったところ、Si(111)基板上にBa_<1-x>Sr_xSi_2膜がエピタキシャルした。さらに、X線回折測定より、SrSi_2モル分率xが増加するにつれて、回折ピークが高角度側にシフトした。解析したところ、a軸の格子定数が線形に減少する結果が得られた。
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Japanese Journal of Applied Physics Vol.43, No.4A
ページ: L478-L481
Japanese Journal of Applied Physics Vol.43, No.7A
ページ: 4155-4156
Japanese Journal of Applied Physics Vol.43, No.6B
ページ: L771-L773