研究概要 |
[1]非免疫抑制性イムノフィリンリガンドの薬理作用 (1)コンフォメーション病を意識した薬理作用の検索;イムノフィリンリガンドのタンパク質のフォールディングや分解などのタンパク質品質管理機構に対する作用に関する検討を平成15年度に引き続き行った.ヒト由来リコンビナントFKBP12タンパク質を用いたインビトロの系においてFK506(免疫抑制性),GPI1046(非免疫抑制性),V10367(非免疫抑制性),rapamycin(免疫抑制性)のPPlase阻害作用を確認した.また,この評価系を用いて,ニューロイムノフィリン結合物質候補化合物であるジペプチド類Lle-Pro,Ile-Pro,Val-ProのPPlase阻害作用についても現在検討中である.一方,ニューロイムノフィリン結合候補化合物のFKBPとのタンパク結合性を明らかにするために,BiacoreによるFKBPとの結合能評価系を確立した.上記候補化合物のFKBPとの結合能については検討中である. (2)各種ストレスに基づく神経細胞死に対する保護作用の分子機序解析;ERストレスによる細胞死について検討を行うための実験系をSH-SY5Y培養細胞系を用いて構築した.ユビキチン-プロテオソーム系の選択的な阻害剤であるMG132を24時間暴露することで,神経細胞死が生じるのに対し,代表的なイムノフィリンリガンドであるFK506(免疫抑制性)を予め添加することで,有意な保護効果が認められた. [2]ニューロイムノフィリンの機能解析 (1)FKBPアイソフォームの機能解析;培養細胞の実験系を用いて,イムノフィリンリガンドが示す保護作用をイムノフィリンの各アイソフォームに特異的なアンチセンスベクターを作成し,イムノフィリンのどのアイソフォームがニューロイムノフィリンとして機能しているか解析する.その端緒として,平成16年度においては,SH-SY5Y細胞を用いてFKBP12のノックダウン細胞株と過剰発現細胞株を得た. [3]ニューロイムノフィリンに関連する神経保護薬の新規候補物質の探索 (1)新規候補物質の探索;平成15年度に引き続き,ジペプチド類について神経栄養因子(BDNF・GDNF)増加作用を指標に検討したところ,新たにN末側がIleのいくつかのジペプチド類が神経栄養因子増加作用を有する可能性が明らかとなった.
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