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2004 年度 実績報告書

圧力下磁場中における角度回転比熱測定による異方的超伝導体の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15740205
研究機関東京大学

研究代表者

井澤 公一  東京大学, 物性研究所, 助手 (90302637)

キーワード異方的超伝導 / 超伝導対称性 / 重い電子系 / 熱伝導率 / 比熱
研究概要

異方的超伝導体の超伝導対称性を調べるため比熱および熱伝導率をプローブとして、それらの物理量の磁場方向依存性の測定を行った。特に最近注目されている圧力誘起超伝導体の対称性を決めるため圧力下の測定を試みた。その結果、圧力下の測定では超伝導ギャップ構造の詳細を調べるのに十分な分解能を得るのが難しくさらに測定分解能を上げるための工夫が必要であることが明らかとなった。
その一方でそれとは平行に、最近発見され特に注目されている反転対称性の破れた重い電子系超伝導体CePt_3Siの常圧下の熱伝導率測定を行い、超伝導ギャップ構造を調べた。40mKまでの熱伝導率測定により(i)温度のべき乗則、(ii)ユニバーサル熱伝導率、(iii)磁場依存性がH^<1/2>に比例すること、(iv)スケーリング則を確認した。これらの4つの条件を満たしているということは、CePt_3Siのギャップ関数にラインノードが存在することの極めて強い証拠となる。このように4つの条件を矛盾なく確認した例は本研究がはじめてである。またこの結果は、これまでのNMRおよび理論の結果から議論されているポイントノードとは大きく異なる結果であり、反転対称性が破れた非常に特殊な環境下における超伝導状態を考える上で非常に重要な情報を与えることができると考えられる。
また圧力下の実験としてCeCoIn_5のホール係数の温度依存性の詳細を調べた。その結果低温でホール係数は30倍以上に増強されていることが分かった。この低温でのホール係数の増加は圧力とともに抑制され高圧でLaCoIn_5の値に近づいていくことが明らかとなった。圧力により系を量子臨界点近傍からフェルミ液体状態に変化させることができることを考えると、これらの結果から、常圧でみられるホール係数の増大は量子臨界点近傍特有の振る舞いであると考えられる。本研究により量子臨界性と輸送係数の関係の理解に大きく貢献できると考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Superconducting gap function in antiferromagnetic heavy-fermion UPd_2Al_3 probed by angle-resolved magnetothermal transport measurements2004

    • 著者名/発表者名
      T.Watanabe, K.Izawa, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review B 70

      ページ: 184502

  • [雑誌論文] Flux-Line Lattice Distortion in PrOs_4Sb_<12>2004

    • 著者名/発表者名
      A.D.Huxley, M.-A.Measson, K.Izawa, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 93

      ページ: 187005

  • [雑誌論文] Observation of a symmetry change in the gap function in PiOs_4Sb_<12>2004

    • 著者名/発表者名
      K.Izawa, Y.Matsuda
    • 雑誌名

      Physica C 412-414

      ページ: 21

  • [雑誌論文] High-field state of the flux-line lattice in the unconventional superconductor CeCoIn_52004

    • 著者名/発表者名
      T.Watanabe, Y.Kasahara, K.Izawa, et al.
    • 雑誌名

      Physical Review B 70

      ページ: 020506

  • [雑誌論文] Giant Nernst effect in CeCoIn_52004

    • 著者名/発表者名
      R.Bel, K.Behnia, Y.Nakajima, K.Izawa et al.
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 92

      ページ: 217002

  • [雑誌論文] Normal-state hall angle and magnetoresistance in Qasi-2D heavy fermion CeCoIn_5 near a quantum critical point2004

    • 著者名/発表者名
      Y.Nakajima, K.Izawa, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Physical Society of Japan 73

      ページ: 92

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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