研究概要 |
1、CCl4急性肝障害モデルラットのHE染色では、中心静脈域を中心に壊死とリンパ球浸潤が認められた。免疫組織染色では、壊死部分にαSMA陽性の活性化星細胞が認められた。これらの細胞では、Smad2のC未,Smad3のリンカー部とC末のリン酸化は核内に染色を認め、Smad2のリンカー部のリン酸化は細胞質内に認められた。 2、collagenase消化法にて星細胞を抽出し、Smadのリン酸化をWestern blot法にて確認したcontrol ratの星細胞ではSmad2,3はほとんどリン酸化されていなかった。CCl_4投与後36時間後にはSmad2,3のリンカー部とC末のリン酸化は全て亢進し72時間後には減少した。このリンカー部のリン酸化のメカニズムを明らかにするためin vivoにおけるMAPKの活性化を検討し。たCCl4投与後36時間後には、JNKのリン酸化が最も著明に亢進しており、JNKを免疫沈降しIn vitro kinase assayを行ったところ活性化したJNKはSmad2,3のリンカー部をdirectにリン酸化をさせていた。 3、初代培養星細胞にTGF-βを添加したところSmad2/3のC末のみならず、リンカー部のリン酸化も認められた。肝星細胞の最も強力な成長因子であるPDGFでは、Smad2/3のリンカー部のリン酸化が認められた。Smad2/3のリンカー部のリン酸化はTGF-βとMAPKの共通のcascadeと考えられた。 4、線維化マーカーの一つであるプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1)のプロモーター領域を組み込んだPF-1 Lucを初代培養星細胞に遺伝子導入して検討した。PAI-1の転写活性はTGF-βとPDGFよってリン酸化されるSmad3リンカー部のリン酸化だけでも亢進されることがわかった。
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