本年度は、造血細胞移植の現状についての実地調査として、都内の造血細胞移植病棟を、見学、研修した。造血細胞移植患者の移植前の意志決定に関わる看護、造血細胞移植に伴う症状コントロール、特に口腔ケア、消化器症状、皮膚ケアについての看護、退院後のフォローの現状を見学した。遠方からの患者も多く、特に継続支援のシステムが必要と考えられた。 また、造血細胞移植看護ネットワークの検討に向け、造血細胞移植をうける患者・家族の看護に関する困難と課題のアンケート作成のため、予備調査として造血細胞移植看護に携わっている看護師に面接調査を実施した。困難については、意志決定、症状コントロール、精神的ケアの他に、特徴的な内容として、リスクの大きい造血細胞移植に対する看護師自身の葛藤への対処についても語られた。これらの内容をもとに、アンケート内容を作成し、実施予定である。 造血細胞移植患者の治療過程にあるがん患者の情報ニードと情報探求行動の分析の研究では、移植前の情報ニード、情報探求行動として、7名の患者に面接調査を実施した。情報ニードには、移植の影響、移植の実際といった内容と伝え方のニードがあるが、求める情報の量、質には個人差が大きく、保証や納得を求めながら、移植の決定を揺るがせないために情報を求めたり、避けたりという相反する情報探求行動をとっていることが明らかとなった。研究の一部をオーストラリアでの第13回国際がん看護学会にて発表した。
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