研究課題/領域番号 |
15H01917
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
曽野 裕夫 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60272936)
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研究分担者 |
藤田 友敬 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (80209064)
小塚 荘一郎 学習院大学, 法学部, 教授 (30242085)
高杉 直 同志社大学, 法学部, 教授 (60243747)
森下 哲朗 上智大学, 大学院法学研究科, 教授 (80317502)
沖野 眞已 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (80194471)
西谷 祐子 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (30301047)
児矢野 マリ 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (90212753)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 私法統一 / 私法統一の付加価値 / 地域的法統一 / 私法統一条約 / グローバル |
研究実績の概要 |
1 国際的な私法ルール形成の現状把握のため、私法統一活動に従事する政府関係者・研究者と情報共有のための研究会を2回実施した。 2 国際的な私法秩序の付加価値の類型化・分節化及び私法秩序形成の4つのフェーズ(特に実施と改廃)の分析を行うための実証分析を、次のとおり行った。 (1)総論的な研究として、国際的な私法秩序形成(取引秩序形成)の歴史的経緯を巨視的に俯瞰し、政策中立的な私法統一から、経済政策・産業政策のための私法ルール形成への転換が観察できることを示す研究成果を『民商法雑誌』に掲載した。それには、本報告書の「研究発表」欄に記載した研究分担者の論文(3点)に加えて、この研究グループと密接に協力して執筆された論文2点(加藤暁子「国際知的財産法の形成 : 私法統一と公法化のはざまで」民商法雑誌153巻6号869-899頁(2018年)、伊藤一頼「公法分野における経済規制の国際的調和 : 私法統一との比較において」民商法雑誌153巻6号900-928頁(2018年))を含む。また、「条約」という私法統一の手法について、日本とアジアに焦点をあてたケーススタディを行い、日本とアジア諸国における私法統一条約に対する行動パターン(及び時代変遷)を明らかにして実効的な条約作成の条件をさぐる成果を“Japanese Yearbook of International Law”等に掲載した。 (2)各論的な研究として、担保法分野の私法統一に重点をおいて、UNCITRAL担保取引モデル法及びケープタウン条約の各議定書の「作成」、「国内実施」及び「改廃」について、実態調査、政府代表を招いての研究会の実施、研究成果の公表を行った。 3 グローバルな私法統一と地域的な私法統一の対比のなかで私法統一の正当性を問う作業として、地域的法統一の伝統のある南米についての訪問調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画に沿って調査・研究が進み、これまでの研究の中間的成果といいうる成果を公表し、研究計画の前半の区切りをつけることができた。また、経常的に実施することとしていた、私法統一の現況のモニタリングや実態調査は、内外の関係者からも高く評価されて順調に進んでおり、また、私法統一の実務関係者への研究成果の社会還元も行った。 もっとも、当初予定していた中間的成果について学界の批判を仰ぐ国際シンポジウムについては、実施にいたらなかった。その理由は、世界銀行のDoing Business指標に対する日本政府の方針転換が年度後半に明らかとなり、そのことが日本の私法統一へのスタンスにかかわる問題であることから、それに対応したうえでの国際シンポジウム開催とするための準備期間を得る必要があったためである。それでも、平成30年7月の国際シンポジウム開催に向けて具体的な準備が進んでいる。 以上から、研究目的の達成に向けて、研究が「おおむね順調に進展している」と区分した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の大きな変更は予定していない。また、研究を遂行する上での大きな問題点も生じていない。
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