研究課題
平成27年度は、まず研究の全体設計を行った。研究の体系的構想、研究者チームの役割分担、年次計画の確認をメンバー全体で共有した。全体計画は理論、シミュレーション、実験において、(1)多スケールの揺動と多種の流束を含み、お互いの相関の強い系の乱流理論を発展させる。(2)乱流計測シミュレータを使い、多スケールの揺動と多種の流束を含む系について、動的な乱流の観測及び解析法を提示する。(3)密度、速度、電場等の乱流揺動を同時に大域計測する。などの個別計画から構成される。多種の巨視的で自由エネルギー源となるスカラー場及びベクトル場が自発的に生成、競合、消滅し干渉し合う「強相関乱流」という概念を確立することを目指している。具体的には、以下の研究に着手した。理論研究では、強相関乱流のminimal model として、密度勾配が駆動するドリフト波と平行流れ場が駆動するD’Angelo モードが共存する系を考察し、両者が競合および恊働するその動力学解析を行うために輸送の干渉や散逸率を用いて定式化した。解析の結果、ドリフト波が平行流れの反転を引き起こしたり、D’Angeloモードが密度勾配に抗う粒子流束を生み出すなどの、輸送干渉の可能性を見出した。実験研究では、乱流輸送束の直接計測を行った。理論予測との比較を行い、D’Angeloモードの不安定領域と、粒子が溜まる(密度分布が急峻化する)領域がほぼ一致をすることが明らかとなった。動的制御を目指した研究にも着手し、平行流れ場や密度勾配の観測を行った。
2: おおむね順調に進展している
全体計画が構築できたこと、強相関乱流を考察する minimal model を定式化することができたこと、実験観測との比較にも着手することができたことなどから、当初の目標に対しておおむね順調に進展していると判断する。
平成28年度には、当初計画に従い、複数の揺動や流れの干渉と競合、実空間での非線形散逸率の理論、粒子や周方向・軸方向運動量の流束の観測、などの課題に研究を進める。さらに、外部加熱のある開いた系へ研究対象を拡張する試みにも着手する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件、 謝辞記載あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 8件、 招待講演 2件)
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