研究課題/領域番号 |
15H02565
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宇佐美 真一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10184996)
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研究分担者 |
茂木 英明 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (60422698)
西尾 信哉 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70467166)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 難聴 / 遺伝子 / ゲノム / 次世代シークエンサー |
研究実績の概要 |
平成28年度は、当教室の管理する難聴患者DNAバンク(約6500名)のうち、717例を対象にインベーダー法+次世代シークエンス法を用いた19遺伝子154変異の網羅的スクリーニング検査を行い原因遺伝子変異の種類と頻度を明らかにした(Mori et al., 2016)。その結果、日本人難聴患者の原因遺伝子変異として、GJB2遺伝子が最も多く、次いでSLC26A4、CDH23遺伝子が多いことが明らかとなった。また、臨床像別に検討を行ったところ、KCNQ4遺伝子やミトコンドリア遺伝子変異は遅発性の進行性難聴群に多く認められることを明らかにした。 また、上記スクリーニング検査を行っても原因の特定に至らなかった難聴患者を対象に次世代シークエンサーを用いた既知難聴原因遺伝子の網羅的解析を行い、稀な原因遺伝子変異による難聴家系を複数家系見出し報告した(Kitano et al 2017 in press)。また、新規遺伝子変異の見出されたDIAPH1遺伝子変異に関しては共同研究により難聴発症の分子メカニズムとしてAuto-regulationの不全によるアクチンバンドルの過形成により生じることを明らかにした(Ueyama et al., 2016)。さらに、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法により、蝸牛における遺伝子発現の解析を行い、蝸牛内の部位ごと(コルチ器、外側壁、ラセン靭帯、ラセン神経節)における既知難聴原因遺伝子の発現レベルに関して報告を行った(Nishio et al., 2017)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り1000例を対象に既知難聴原因遺伝子のターゲットリシークエンス解析が完了した。また、原因の特定できなかった家系を対象に全エクソーム解析を実施し候補遺伝子を同定することができた。さらにレーザーマイクロダイセクション法によりコルチ器に発現する遺伝子を同定した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は前年度までに既知難聴原因遺伝子の網羅的解析を行っても難聴の原因を特定できなかった症例のうち、比較的大きい家系(家族歴を有する家系)を中心に全遺伝子のエクソン領域を解析する全エクソーム解析を行い、新規の難聴原因遺伝子変異を同定する。 また、新規に同定された遺伝子変異に関しては、機能未知である場合が多いことより、マウス内耳における発現部位を免疫組織染色およびレーザーキャプチャーマイクロダイセクション法により同定し、内耳における局在や機能的役割に関して検討を行う。また、最終年度であるため成果を取りまとめ論文として報告を行う。
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