研究実績の概要 |
目的:2019年度~2021年度は感染防護具における汚染度の特定を行い,ガイドラインの策定につなげることが目的で,感染防護服表面の汚染部位の可視化をする実験を実施した。看護師が感染防護服を着用し模擬患者の体位変換を実施した際の感染防護服表面の汚染部位を可視化することにより,汚染部を明確に評価し,安全な感染防護服の着脱訓練へつなげるために実験した。 研究方法:感染防護服着用実験において,被験者は女性看護師10 名。実験手順:被験者は市販のカバーオール型防護服1種類とゴーグル,N95マスク,手袋,靴袋を装着し,感染防護服の下にはユニホーム,下着と靴下を着用した。看護シミュレーション:蛍光粉末を模擬患者役に塗布し,患者ケア(移動動作)を実際に行い,看護師の防護服・防護具に付着した蛍光粉末の発光を汚染部位とみなし画像撮影し,画像分析を身体領域毎に解析・評価した。看護動作の選択は,看護上最も日常的に行われ,密着度の高い動作のベッドから椅子に移動動作とした。画像処理による解析手法では,画像の撮影位置やUVライトの照射角度,カメラと対象までの距離により,解析結果が異なることが問題のため,三次元スキャナとカメラおよびUVライトを組み合わせることで3次元的な蛍光領域の分布を定量的に評価できる装置を利用した。 結果・考察:防護服へUVライトを当て体位変換後の汚染度は背部47.4%,特に背部上部が49.7%と多くの汚染がみられた。次に背部中央21.6%,胸部23.7%,右上腕部18.6%,右肩部16.4%の順に多くの汚染領域がみられた。背部と胸部に汚染領域が多く見られたのは,模擬患者と看護師がより接触したと考えた。 最後にコロナ感染症の影響で防護具の実験物品が購入不可,および病院内へ立ち入り禁止措置による共同研究者との実験が不可能のであった理由から最終的ガイドラインの策定にまで至たっていない。
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