研究課題/領域番号 |
15H03108
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
石井 好二郎 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30243520)
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研究分担者 |
國土 将平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10241803)
大島 秀武 流通科学大学, 人間社会学部, 教授 (60610251)
引原 有輝 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (10455420)
長野 真弓 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (10237547)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 身体活動 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
思春期小児の身体活動とメンタルヘルスに関する研究は,国内外共に対象者数が少ない。また,わが国での研究は,ある限られた地域や学校での調査に止まっており,全国の代表サンプルとなるような研究はない。さらには,思春期前期児童・生徒を対象としたものは極めて少ない。すなわち,身体活動がメンタルヘルスに好影響を及ぼすとされているものの,問題行動の深刻化が指摘されている思春期前期児童・生徒に対して,外的妥当性をもった研究は行われていない。加えて,身体活動を時間で評価しているものがほとんどであり,メンタルヘルスと身体活動強度からの評価はほとんど見られない。 そこで本研究では,全国の国公立小学校28校5,6年生および中学校22校1,2,3年生12,086名を対象に身体活動量・強度と抑うつ状態,および首尾一貫感覚を調査した。対象児童・生徒に我々が妥当性を確認した思春期前期児童・生徒用身体活動評価質問紙を配布し,平均的な一週間における高強度,中強度および低強度の身体活動と歩行に関する日数および時間を回答させた。 対象児童・生徒の抑うつ傾向の測定には,Birleson(1981)の自己記入式抑うつ評価尺度を基に村田ら(1996)が開発したDSRS-C(Depression Self-rating Scale for Children)の日本語版を用いた。また,首尾一貫感覚(Sense of Coherence: SOC)をストレスに対する健康保持能力として測定する。なお,SOCの測定には板野ら(2009)が作成した13項目からなる児童用SOCスケール日本語版を用いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国の国公立小学校28校5,6年生および中学校22校1,2,3年生12086名のデータが得られた。中学3年生は入試の影響が確認できたため,解析対象は小学5年から中学2年の4学年計9643名であり,回答に不備のない有効回答(率)は9424名(97.7%)であった。 当初の予定通り,1万人を超えるデータを収集することができた。入試の影響のある中学3年生や回答に不備がある者を除いても,9000名以上のデータがあり外的妥当性が保たれた研究となることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
1)小児の運動・スポーツの意義を文献レビューにより実施し,エンドポイントをメンタルヘルスとした先行研究についても検討する。 2)体活動質問紙には国際標準化身体活動質問票(IPAQ)を用いることとしたが,IPAQは成人を対象としているため,児童・生徒に理解可能な例示に改めた。加速度計によって妥当性を確認する研究も実施したが,学会発表で多くの反響がみられたので,論文化を進める。 3)身体活動量・強度とメンタルヘルスの関連については,二進木解析法(CART)を用いる。すなわち,DSRS-CならびにSOC得点を従属変数,高強度ならびに中等度の1日に実施する身体活動時間および1週間の身体活動の総時間をそれぞれ独立変数として,決定木分析を用い探索的に有効な変数の組み合わせを考える。さらに,回帰木の分岐より得られた運動時間のカッティングポイントからDSRS-CおよびSOC得点に対する各強度の身体活動時間を分類する。
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