研究課題
本研究は、ファシズム運動をその時代を特徴付けるグローバルな現象ととらえ、主に古代表象をキーワードに、同時代的、あるいは通史的な比較研究を行うものである。平成29年度は、最終年度として研究計画でも予定されていた国際研究集会を実施し、これまでの研究成果を踏まえてあらためて同時代的な比較を行った。国際研究集会では、オーストリア国立アカデミーのBernhard Scheid氏を迎え、キリスト者でありながら神道に関心を寄せ、研究を行ったWilhelm Gundertについて講演をしていただき、そのあとで参加者がそれぞれの研究の視点からディスカッションを行った。この研究集会に先だっては、事前の勉強会も行い、フランス国立高等社会学研究院教授であるアルバン・ベンサ氏を迎え、同じファシズム期に隣国フランスではどのようにアジア・太平洋地域の研究が行われていたのか、レクチャーを受けた。こうした研究会等のなかで、当時の神話学、宗教学では「戦う青年」への関心が高いことなどが注目されたため、合同の調査として会津若松市の白虎隊、二本松市の二本松少年隊の顕彰碑の調査を行った。とくに白虎隊については、イタリア、ファシスト党のムッソリーニやナチス・ドイツと関連の深かったドイツ人による顕彰碑も建てられており、実りある調査となった。また宮崎県、鹿児島県においてもファシズム期日本と古代表象を考える上できわめて重要な紀元2600年記念の史跡調査を行い、「モニュメント」研究の必要性などを認識するにいたった。本年度は合同では以上のような調査、研究が行われたが、各自においてはそれぞれの研究課題に即し、論文集の刊行に向けての研究、執筆を行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
アジア遊学
巻: 217 ページ: 43-56