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2017 年度 実績報告書

日本人英語学習者のインタラクション(相互行為)を通じた自律的相互学習プロセス解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H03226
研究機関早稲田大学

研究代表者

原田 康也  早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80189711)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワードインタラクション(相互行為) / 自律的相互学習 / プライミング / 同調 / 相互行為 / 共感 / 英語の知識 / 英語の運用能力
研究実績の概要

平成29年度においては、研究代表者・連携研究者の担当授業の実情などを勘案して以下の活動を中心に研究を進めた。
早稲田大学におけるデータ収集については新入生3クラスの受講生80名ほどを主な調査対象として、VET (Versant English Test)・VWT (Versant Writing Test)・VEPT (Versant English Placement Test) などの試験を実施して英語の学習到達度・運用能力を測定し、授業時のやり取り(質問と回答など)におけるインタラクション(相互行為)をビデオカメラ・全天周カメラで記録した。アンケート回答・試験スコア・回収する各種電子ファイル・コミュニケーション活動の音声動画記録などを収集し、同意書の提出を求め、独自の識別子を用いて整理した。秋学期からインタラクションの音声動画収録に関して、全天周カメラの利用を試みた。データ分析については収録した動画のアノテーションを進め、書き起こしから語彙的プライミング・統語的プライミングの抽出と分析を試みた。
早稲田大学以外におけるデータ収集について、平成27年度に購入し平成28年度に琉球大学の連携研究者に貸し出したアクションカメラについて、研究代表者・研究協力者・当該連携研究者と琉球大学の技官で運用方法の詳細について検討を行った。連携研究者・研究協力者に加えて、国内・海外の関連分野研究者・海外共同研究者とデータの分析・解釈について研究討議を重ねた。
研究成果の経過報告については、日本国内で開催される英語教育・言語理論・言語処理・大学教育関係の学会・研究会ならびに応用言語学・心理言語学・第二言語習得関連の国際会議で研究発表を行った。あわせて、自動音声認識・テキスト処理・動画データ解析などについて、関連する学会・研究会等で情報収集に努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

早稲田大学におけるデータ収集はおおむね順調である。対象人数については、入学者数などに依存するため、2015年度は60名程度であったところ、2016年度・2017年度は80~90名程度であった。アクションカメラは予算的な制約もあり、収録音声の音質を重視して2015年度に慎重に選定したが、2016年度にメーカで機種変更があり、あらためて慎重に検討したが、結果的に2015年度に購入した機種の後継機を選定し、収録対象人数が大幅に増加したこともあり、研究代表者が授業を実施しているコンピュータ教室の座席数まで用意した。一方、2015年度に購入した機材については琉球大学の連携研究者の利用を想定して貸し出した。しかし、アクションカメラの利用にあたっては、バッテリの持続時間の制約と MicroSD カードからのデータの吸い上げに台数分の手間がかかるため、授業時にアルバイトに貼り付いてもらうなどの人的資源の投入が必要であり、データ収集上の制約となっている。また、2017年度にはグループ活動の状況が把握しやすいように全天周カメラの試用を始めたが、収録時間・データ容量・バッテリー容量に制約が大きく、録画データの変換にかなりの計算機資源が必要であり、これまた運用上の工夫が必要となっている。
書き起こしを含めたアノテーションについては、あらかじめ想定した通り、極めて限られたデータしか扱うことができていないが、アノテーションの対象データを増やすことよりは、さまざまなアノテーションの可能性を試行錯誤することを中心に今後の作業を進めることを検討している。
研究会・学会等での研究計画の経過報告については、比較的小規模な研究会では実質的な意見交換を重視して研究の現状報告と今後の研究上の課題についての発表を継続的に行いつつ、国内・海外での国際的な研究集会でも研究発表を行うなど、順調に実施している。

今後の研究の推進方策

早稲田大学におけるデータ収集についてはこれまでの実績があるので、今後も同様の方針で継続する。
Versant English Testについては、自宅にVoIPでない従来型の電話がないことが一般化し、地上線経由の従来型電話の音声品質が劣化しているということから、電話による受験からインターネットとブラウザを経由したweb受験に切り替えつつあるが、得点に影響があるかどうか、実際に同一の受験者が並行して受験した場合のスコアの対応関係を継続的に確認することを予定している。また、リスニングとスピーキングの運用能力を図るVersant English Testとリーディングとライティングを中心に運用能力を図るVersant Writing Testを平成27年度と平成28年度に使用したが、4技能について一括して測定するVersant English Placement Testを平成28年度末に試用した。授業時間の有効活用のため、今後はVersant English Placement Testに置き換えることを検討しているが、スコアの経年変化を見るためにはスコアが従来のVersant English Test ならびに Versant Writing Testと同様のスコアであるかどうか見定める必要もあるため、平成30年度にもう少しデータ収集を行う必要がある。
収集した音声・画像について人手ですべて書き起こしを行うことは当初より想定していないが、効率的なアノテーションのための方策(外注化・外部 API の利用など)を引き続き検討している。インタラクションの分析手法について、研究協力者も含めて検討を継続する。
国内外での研究会・学会での発表・報告に加え、本研究課題の途中経過の報告を主目的とする研究集会を平成30年度ないし平成31年度に開催すべく、企画の検討を始めたところである。

  • 研究成果

    (25件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 英語母語話者とのインタラクションデータにおける日本人英語学習者のwh疑問文産出2017

    • 著者名/発表者名
      森下美和・河村まゆみ・原田康也
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術報告

      巻: 117 ページ: 63 68

  • [雑誌論文] 多様な英語力の測定2017

    • 著者名/発表者名
      原田康也・森下美和・鈴木正紀
    • 雑誌名

      日本認知科学会第34回大会発表論文集

      巻: - ページ: 1124 1131

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本人英語学習者の構文産出傾向2017

    • 著者名/発表者名
      森下美和・原田康也
    • 雑誌名

      日本認知科学会第34回大会発表論文集

      巻: - ページ: 1057 1060

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Syntactic Priming by Japanese EFL Learners in Dialogue Contexts based on Different Task Types2017

    • 著者名/発表者名
      Morishita, M. & Harada, Y.
    • 雑誌名

      Proceedings of the 21st Workshop on the Semantics and Pragmatics of Dialogue

      巻: - ページ: 15 17

    • 国際共著
  • [学会発表] Diversity of Tests and Test Scores of Japanese Learners of English2018

    • 著者名/発表者名
      Morishita, M. & Harada, Y.
    • 学会等名
      53rd RELC International Conference: 50 Years of English Language Teaching and Assessment? Reflections, Insights and Possibilities
    • 国際学会
  • [学会発表] Positive Impact of Intrusive Recording Devices on Foreign Language Learning2018

    • 著者名/発表者名
      Harada, Y., Nabei, L. & Morishita, M.
    • 学会等名
      53rd RELC International Conference: 50 Years of English Language Teaching and Assessment? Reflections, Insights and Possibilities
    • 国際学会
  • [学会発表] 外国語学習における創発的推論2018

    • 著者名/発表者名
      原田康也
    • 学会等名
      日本英語教育学会・日本教育言語学会第48回年次研究集会:英語学習を支える言語環境・言語景観
  • [学会発表] 言語表現の underspecification と言語理解におけるアブダクション2018

    • 著者名/発表者名
      原田康也
    • 学会等名
      第139回次世代大学教育研究会
  • [学会発表] Impact of Recording Devices on Students Performance in English Classes in Japanese Universities2017

    • 著者名/発表者名
      Nabei, L., Morishita, M. & Harada, Y.
    • 学会等名
      JWLLP 23 (2017/12): The 23rd Joint Workshop on Linguistics and Language Processing jointly organized with the Fifth International Workshop on Linguistics of Ba
    • 国際学会
  • [学会発表] Language Understanding and Abductive Reasoning: Abductive Reasoning in L2 English Dictation Tasks and in Interpreting L1 Japanese "NP1-no NP2" Constructions2017

    • 著者名/発表者名
      Harada, Y., Morishita, M, Shudo, S. & Sakai, K.
    • 学会等名
      JWLLP 23 (2017/12): The 23rd Joint Workshop on Linguistics and Language Processing jointly organized with the Fifth International Workshop on Linguistics of Ba
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 英語母語話者とのインタラクションデータにおける日本人英語学習者のwh疑問文産出2017

    • 著者名/発表者名
      森下美和・河村まゆみ・原田康也
    • 学会等名
      電子情報通信学会思考と言語研究会
  • [学会発表] 早稲田大学(法学部・本庄高等学院)での英語教育: 高大接続の可能性を含めた実践事例2017

    • 著者名/発表者名
      赤塚祐哉・原田康也
    • 学会等名
      Be The Teacher! 2017: Jr. & Sr. High School セミナー
  • [学会発表] 多様な英語力の測定2017

    • 著者名/発表者名
      原田康也・森下美和・鈴木正紀
    • 学会等名
      日本認知科学会第34回大会
  • [学会発表] 日本人英語学習者の構文産出傾向2017

    • 著者名/発表者名
      森下美和・原田康也
    • 学会等名
      日本認知科学会第34回大会
  • [学会発表] Syntactic Priming by Japanese EFL Learners in Dialogue Contexts based on Different Task Types2017

    • 著者名/発表者名
      Morishita, M. & Harada, Y.
    • 学会等名
      SIGDIAL/SemDial 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] 【討議】英語による授業を可能とする教員の英語力・学生生徒の英語力2017

    • 著者名/発表者名
      赤塚祐哉・家本修・阪井和男・坪田康・徳永健伸・原田哲男・原田康也・平畑奈美・八木智裕
    • 学会等名
      日本ビジネスコミュニケーション学会2017年度年次大会
  • [学会発表] 国際バカロレア「Language B(English)」評価・学習から捉える高校英語教育:高大接続に向けて2017

    • 著者名/発表者名
      赤塚祐哉・原田康也
    • 学会等名
      日本ビジネスコミュニケーション学会2017年度年次大会
  • [学会発表] 「だれ場」の認知バイアス:いわゆる学習曲線における「プラトー」の解明と解消に向けて2017

    • 著者名/発表者名
      原田康也・阪井和男
    • 学会等名
      日本ビジネスコミュニケーション学会2017年度年次大会
  • [学会発表] 外国語学習の基盤としての意味のやりとり:創発としてのディクテーション訓練2017

    • 著者名/発表者名
      鍋井理沙・原田康也
    • 学会等名
      日本ビジネスコミュニケーション学会2017年度年次大会
  • [学会発表] 外国語学習の基盤としての意味のやりとり:創発としての字幕付き映画聴解2017

    • 著者名/発表者名
      坪田康・原田康也
    • 学会等名
      日本ビジネスコミュニケーション学会2017年度年次大会
  • [学会発表] 第二部:英語教育と情報教育はいかに統合されるべきか2017

    • 著者名/発表者名
      原田康也
    • 学会等名
      立教大学英語教育研究所主催公開講演会
  • [学会発表] 第一部:教育の情報化は英語学習をどう変えたか2017

    • 著者名/発表者名
      原田康也
    • 学会等名
      立教大学英語教育研究所主催公開講演会
  • [学会発表] 外国語学習の基盤としての意味のやりとり:文の生成・産出・理解における演繹・帰納・創発2017

    • 著者名/発表者名
      原田康也・森下美和
    • 学会等名
      第130回次世代大学教育研究会
  • [学会発表] 外国語学習の基盤としての意味のやりとり:外国語学習における創造性・創発性2017

    • 著者名/発表者名
      原田康也・森下美和
    • 学会等名
      第129回次世代大学教育研究会
  • [学会発表] グループ(ワーク)の創発とリスナーシップ2017

    • 著者名/発表者名
      横森大輔
    • 学会等名
      第129回次世代大学教育研究会

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公開日: 2018-12-17  

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