研究課題
1年次と2年次は,教科教育学(社会科教育)を専門とする研究者21名に対象に,学問観の聞き取り調査を行った。3年次は,収集したデータの考察と総括を行った。成果は大きく3点に整理できる。第1にアジアの研究者のアイデンティティを記述・分類できた。①韓国と②中国の研究者は,いずれも日本での留学時代に体得した規範的・工学的な方法論の影響を強く受けていた点では共通するが,母国の教育システムとの関係で,①韓国の研究者は教師と密接な関係を築き,現場の授業改善を通じて教育改革を進めていたのに対して,②中国の研究者は教育課程の策定に関わり,理想的な教育活動を組み込んだ教科書の執筆と普及を通して教育改革にコミットしていた。第2にアメリカの研究者のアイデンティティを記述・分類できた。同一の研究系大学に勤務する3人の研究者は,いずれも教職経験をもち,経験的・実証的な研究で学位を取得している点では共通するが,米国ならではの雇用契約に基づいて,①大学院における論文指導等に専念する研究指導者,②史料館と学校教育の協働に関心を寄せて,教師教育と研究の双方に関与する研究者,③学校現場に駐在し,社会科教育の臨床的な指導に従事する教師教育者,それぞれの社会的責任の果たし方が認められた。第3にヨーロッパの研究者のアイデンティティを記述・分類できた。①フィンランド,②ノルウェー,③オーストリアの研究者は,いずれも地理学や歴史学など教科内容を専門的基盤としていた点では共通するが,勤務校の要請や個人の信念に基づいて,①若者に関する「研究」成果の社会的な発信に努める研究者,②「教師教育」を通して社会的課題の解決や啓発を図ろうとする研究者,③「管理・運営」を通して教育や研究を組織化し,それらを社会的な存在に高めようとする研究者,それぞれの立場が確認できた。これらの結果から教科教育学のパラダイムの文脈性と主体性を描き出せた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Global Learning Based on the C3 Framework in the K-12 Social Studies Classroom
巻: なし ページ: 印刷中
Jounal of Social Studies Education In Asia
巻: 7 ページ: 印刷中
学校教育実践学研究
巻: 24 ページ: 157-166
岐阜大学教育学部研究報告-教育実践研究・教師教育研究-
巻: 20 ページ: 55-65
東京書籍・東書教育シリーズ 「見方・考え方」を活用した授業実践 ~現行学習指導要領の教科書を使って~
巻: なし ページ: 2-5
広島大学大学院教育学研究科紀要第二部(文化教育開発関連領域)
巻: 66 ページ: 41-50
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