本研究では、高熱電性能単分子接合の創製を目的とした。まず、電子線描画法等の微細加工技術を用いて、ナノ加工機械的破断接合(MCBJ)に熱電対を組み込んだ、1分子熱電特性測定用ナノセンサデバイスを開発した。このデバイスの動作実証として、金ナノ接合におけるジュール発熱を調べ、当該ナノ構造の電子状態を反映した非対称なジュール加熱効果を発見した。また、単分子接合の熱電特性における分子―電極界面構造の寄与を調べ、金-チオール結合距離を拡張することで、単分子接合の熱電性能を大幅に向上できることを見出した。さらに、同デバイスを用いたアルカンジチオール単分子接合の1分子熱伝導度の実測にも成功した。
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