アモルファス酸化インジウム薄膜を伝導チャネルとした薄膜トランジスタにおいて、特性の不安定性を抑制するための添加元素がホスト材料に及ぼす効果を調べた。アモルファス酸化インジウム薄膜の構造の安定性は、アモルファス中の酸素欠損の密度に依存する。伝導の安定性は、伝導電子を供給する酸素欠損の密度に反比例する。この安定化のためにSiを添加した。原子半径の小さいSiの添加は、ホスト酸化インジウムを歪ませて、伝導電子の5s軌道の重なり確率を高めていることがわかった。これらの知見を基にして、Si添加の少ない構造不安定な高導電層と高密度でSiを添加した低導電性層を積層して、特性を補う構造の形成に成功した。
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