研究課題
化石サンゴ骨格および化石シャコガイを用いてOIS3当時の気候復元をおこなった。本研究により設置した喜界島サンゴ礁科学研究センターを拠点に喜界島の野外調査活動を続け、OIS3の年代の層準から化石サンゴ骨格(ハマサンゴ属およびコマルキクメイシ)と化石シャコガイ殻(シラナミガイ)を発見した。いずれの試料も非常に保存がよく、続成の影響が極めて低かった。国立台湾大学において化石サンゴ骨格のウラン/トリウム年代を分析したところ、いずれも49000年前~55000年前の化石であり、OIS3当時に生息していたものと判明した。同層準で発見されたシャコガイ殻も同じ年代のものと推定された。この化石サンゴおよび化石シャコガイから当時の水温を復元するにあたり、2年間の海洋観測(水温・塩分・日射量・栄養塩・pH)を行い、現生サンゴおよびシャコガイ殻の化学組成が表す古気候指標のキャリブレーションをおこなった。化石サンゴ骨格のSr/Ca分析、酸素同位体比分析と化石シャコガイ殻の酸素同位体比分析から得られた水温は現在よりも約4℃低いという結果であった。現在の喜界島の水温の季節変動は18℃~30℃であるが、OIS3当時は13℃~28℃と推定され、変動幅も大きいことがわかった。現在、亜熱帯に属する喜界島はOIS3当時には現在の温帯地域と同じ気候であったことから、ネアンデルタール人は食料不足の危機や生活様式の適応の困難にさらされていた可能性を示唆した。本研究の成果は喜界島で開催した国際サンゴ礁科学シンポジウムで議論し、月刊海洋に3つの解説を掲載した。また現在、国際誌で公表する準備を行っている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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