研究課題
神経細胞において生理的なシナプス刺激によって誘導される神経特異的前初期遺伝子Arcはシナプス可塑性やシナプス恒常性に直接関わる因子であるが、その作用機構の詳細は不明である。本研究の目的はArcによるシナプス調節機構と大脳認知機能の調節メカニズムを明らかにすることである。平成30年度では、これまでの研究成果をまとめて国際共同研究による学術論文および学会発表として公表した。主な成果としては、大脳におけるArcの経験依存的な発現を同一個体で繰り返し観察する技術を開発し、これを用いてマウス海馬CA1領域におけるArc発現と空間認知の関係を2光子顕微鏡を用いたインビボイメージングにより初めて示した(Attardo et al., 2018)。このとき加齢によるArc発現パターンの変化についても報告した。また、これまで我々が提唱してきた”逆シナプスタグ仮説“を実証するため、マウス視覚野における単一シナプス可塑性とArcタンパク質の挙動やグルタミン酸受容体の表面発現動態との関係を解析したところ、実際にあまり使われないシナプスにおいてArcが働きグルタミン酸受容体の量が少なくなっており、生きたマウス大脳において逆シナプスタグ機構が働いていることが明らかになった(El-Boustani et al., 2018)。以上の結果より、大脳の認知活動に関連したArcの挙動とArcを介した逆シナプスタグ機構によるシナプス調節機構が明らかにされた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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