研究課題
運動学習の中枢である小脳の中で圧倒的多数を占める平行線維-プルキンエ細胞間のグルタミン酸作動性シナプスとそれを取り巻くグリア突起までを含めた機能単位としての (PF-PC)/BG tripartiteシナプスに着目し、1)後シナプス領域のセプチン系必須サブユニットSEPT7をCre-Lox系で選択的に破綻させ、a) 神経化学的(主要シナプス蛋白質と神経伝達物質の分析)、b) 微細形態学的(2Dおよび3D 免疫電子顕微鏡法)、c) 機能的(運動学習課題)に精査する。2)シナプスとスパイン包囲・被覆するバーグマングリア突起膜ドメイン直下のCDC42EP4を欠損させることで、下流にあるセプチン系とグルタミン酸トランスポーターGLASTを含む分子ネットワークを破綻させ、そのインパクトを1)と同様に精査している。
2: おおむね順調に進展している
細胞形態制御のシグナル分子として重要な低分子量G蛋白質CDC42がGTP結合型のときエフェクター分子CDC42EP/BORGに会合すること、セプチン複合体もCDC42EPの別のドメインに会合するが、CDC42-GTPと会合したCDC42EPにはアロステリック阻害のため会合できないことなどを代表者らは以前報告した(Nat Cell Biol 2001, Dev Cell 2002)。帰国後、研究を中断していたが、この3者間分子ネットワークの生理的意義が依然不明であるため、研究を再開し、i) CDC42EP1-5ファミリーのうちCDC42EP4がバーグマングリア選択的かつ多量に発現すること、ii) CDC42EP4がバーグマングリア突起の中でもスパインやPF-PCシナプスを包囲・被覆する葉状突起の細胞膜直下に集積すること、iv) でセプチン複合体やグルタミン酸輸送体GLASTと共局在すること、v) 小脳抽出物の免疫沈降-質量分析でCDC42EP4-SEPT2/3/4/5/6/7/8/10/11-GLAST分子間相互作用を見出した(Nat Commun 2015)。
immunogold-TEM法を中心とした電子顕微鏡解析手法により、バーグマングリア葉状突起の微細形態、細胞膜直下に集積するSEPT2/3/4/5/6/7/8/10/11-GLASTの微細局在を定量評価する。PF-PCシナプス形態への影響も同様に評価する。
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Methods in Cell Biology
巻: in press ページ: in press
Nature Communications
巻: 6 ページ: 10090
10.1038/ncomms10090
http://www.bio.nagoya-u.ac.jp/topics/151207_kinoshitaageta.pdf
http://www.bio.nagoya-u.ac.jp/paper/2016-26/01.html