研究課題/領域番号 |
15H04425
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
辻 瑞樹 琉球大学, 農学部, 教授 (20222135)
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研究分担者 |
鈴木 準一郎 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (00291237)
大槻 久 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 講師 (50517802)
土畑 重人 京都大学, 農学研究科, 助教 (50714995)
中丸 麻由子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (70324332)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生態学 / 進化 / 行動学 / 昆虫 / 植物 |
研究実績の概要 |
この研究では生物階層毎に分化した生態学を統合すべく階層間相互作用という観点を導入する。具体的対象系として、個体と個体群(種)の間に超個体(コロニー、ラメット・ジェネット)という階層が存在する社会性昆虫のアリとクローナル植物に焦点を当て、遺伝子から群集に至る生物多様性の統合的な理解を試みる。とくに血縁選択と群集構造の関係に注目する。すなわち、血縁選択が同種非血縁個体間の敵対性を進化させ、これが個体群密度を抑制し、他種との共存をもたらすという作業仮説を理論実証両面で検討する。さらにその先に、ある階層での競争的ダイナミクスがそれより上位と下位の階層のダイナミクスにどんな影響を与えるのか一般性の高い理論の構築を目指す。以上が計画の概要だが、初年度に代表者が不慮の病気にあい計画が遅れた。そこで2年度目である28年度の冒頭に前年度にできなかった全体会議を行った。その議論に従い以下の項目を実施した。理論研究では、群集構造に影響を与える(1)血縁選択の基盤であるコロニー識別コードの進化モデル、(2)移動分散戦略に関係する階層間相互作用モデルを作成し検討した。実証研究では(3)裏切り者を含むアミメアリの個体群と群集のダイナミクスに関する野外調査、(4)クローナル植物において導管の機能を熱処理でブロックしたラメット間で生じる相互作用に関する実験を実施した。これら以外にも、亜熱帯性のチョウ類、魚類、アリ共生性植物などに焦点を広げ、進化と群集動態に関する階層間相互作用の実証データを収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的研究は概ね当初の計画通り進んでいるが、研究代表者が直接担当するアミメアリの野外調査がスタートの遅れが響き、ややおくれている。
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今後の研究の推進方策 |
理論的研究は昨年度から継続して従来どおりの進め方で行う。実証研究では、季節性があるアミメアリの野外調査の遅れを完全に取り戻すのは困難だが、トゲオオハリアリなど他種アリや植物やアリ以外も用いた階層間相互作用に関する実験的な研究で遅れをカバーしたい。
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