研究課題
この研究では生物階層毎に分化した生態学を統合すべく階層間相互作用という観点を導入する。具体的対象系として、個体と個体群(種)の間に超個体(コロニー、ラメット・ジェネット)という階層が存在する社会性昆虫のアリとクローナル植物に焦点を当て、遺伝子から群集に至る生物多様性の統合的な理解を試みる。とくに血縁選択と群集構造の関係に注目する。すなわち、血縁選択が同種非血縁個体間の敵対性を進化させ、これが個体群密度を抑制し、他種との共存をもたらすという作業仮説を理論実証両面で検討する。さらにその先に、ある階層での競争的ダイナミクスがそれより上位と下位の階層のダイナミクスにどんな影響を与えるのか一般性の高い理論の構築を目指す。そこで3年度目である29年度には以下の項目を実施した。理論研究では(1)血縁選択理論を拡張し、種内の社会関係のみならず種間の相互作用をも取り扱い可能な共分散式としミュラー型擬態の進化動態を検討した、(2)種間競争に関わる移動分散戦略に関係する生活史戦略モデルを作成し検討した、(3)ワーカーポリシングにコストを導入するモデルを検討した、(4)根粒菌とマメ科植物の共生系の成立させる制裁条件を明らかにした。実証研究では(5)裏切り者を含むアミメアリの個体群と群集のダイナミクスに関する野外調査、(6)クローナル植物において導管の機能を熱処理でブロックしたラメット間で生じる相互作用に関する実験、7)アリ社会行動に影響する菌の網羅的調査、(7)新規試みとして性選択がグッピーとカダヤシの種間競争へ与える効果、(8)亜熱帯性のチョウ類の擬態の進化に関して、進化と群集動態に関の相互作用に関する階層間相互作用の実証データを収集することができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 1件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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