研究課題
USP10、G3BP1、G3BP2およびストレス顆粒の生体内機能および蛋白分解における役割を明らかにする。1)USP10はストレス顆粒の形成に重要な役割を果たす。USP10の生体内機能を明らかにするために、全身性のUSP10欠損マウスを樹立した。USP10欠損マウスは汎血球減少症(骨髄不全)を発症し、全頭300日以内に死亡した。このUSP10欠損マウスに正常な骨髄を移植すると、正常な造血が再構築された。この結果は、USP10欠損マウスでは造血細胞に異常があることを示した。USP10欠損マウスでは造血幹細胞のアポトーシスが昂進していた。USP10欠損マウスの肝臓から調整した細胞を、造血幹細胞に対するサイトカイン(SCF (stem cell factor)を含む培地で培養した。USP10欠損マウスから調整した造血幹細胞は、増殖因子中を含む培地中では野生型細胞と同等に増殖した。造血幹細胞が造血幹細胞のアポトーシスを抑制するが、このSCFによる抑制は、USP10を欠損した造血幹細胞では著明に低下した。USP10の変異体は、脱ユビキチン化酵素活性がUSP10による造血幹細胞アポトーシスの抑制に関与することを示した。以上の結果は、USP10およびストレス顆粒が造血幹細胞の維持に関与することを示唆する。2)G3BP1欠損ヘテロマウスを樹立した。G3BP2欠損マウスもヘテロ欠損マウスの樹立の直前まで進んだ。3)USP10が蛋白凝集体形成を促進することが示唆された。すなわち、USP10を過剰発現すると、ユビキチン化蛋白の凝集が促進した。逆に、USP10をノックダウンするとユビキチン化蛋白の凝集が低下した。これらの結果はUSP10およびストレス顆粒がユビキチン化蛋白の蛋白凝集に関与することを示唆している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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