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2015 年度 実績報告書

脂質センサー型ITAM受容体による抗酸菌特異的脂質の認識と結核病態の制御

研究課題

研究課題/領域番号 15H04729
研究機関鹿児島大学

研究代表者

原 博満  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20392079)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード感染症 / 細菌 / 免疫学 / 脂質
研究実績の概要

(1) Mincle、Trem2を介した自然免疫応答の解析
Mincle、Trem2を介した自然免疫応答の性質を明らかにするため、MincleリガンドであるTDM、Trem2リガンドであるMAをマウス腹腔内に投与した後の、腹腔内のサイトカイン及びケモカイン産生、浸潤細胞種、M1, M2マクロファージマーカーであるiNOS、Arginase等の発現について解析を行った。その結果、Mincleを介して誘導される応答はマクロファージ走化性因子MCP-1の上昇とともに、TNF産生、NO産生を誘導する一方、Trem2を介した刺激は、TNFやNO産生を誘導せず、M2マーカーであるArginaseを誘導することがわかった。また、これまでの研究で、Trem2欠損マクロファージはTDM刺激によるサイトカイン、ケモカイン産生が著しく上昇することをin vitroでのマクロファージ刺激試験において見出していたため、Trem2欠損マウスの腹腔にTDMを投与した際の炎症応答を解析した。その結果、Trem2欠損マウスは、野生型マウスではTDM投与後3日目にはほぼ収束する好中球浸潤が遷延し、MCP-1、TNF産生も著しく上昇することがわかった。これらの結果から、Trem2を介したマクロファージの刺激は、Mincleを介した自然免疫応答の抑制と収束に関与していることが考えられた。
(2) PGLRの機能解析
新規に見出したPGLRの生理的意義を明らかにするため、マウスの腹腔にBCG由来のPGLを投与し、サイトカイン産生及び浸潤細胞の解析を試みた。しかし、十分な炎症誘導を検出することができなかった。様々な検証の結果、PGLはエマルジョンの作成過程で熱分解し、生理活性を失うことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Mincle、Trem2の機能解析に関しては概ね計画通りに進んでいる。一方で、PGL受容体であるPGLRの機能解析は、PGLの生理活性を安定して検出することができなかったことから、in vitro、in vivoでの実験ともに再現性のある結果が得られず、実験を計画通りに進めることができなかった。この原因を探った結果、PGLは非常に熱に不安定であり、溶媒に可溶化させる際の僅かな熱処置で分解し、活性を失うことを見出した。そこで、安定なPGL精製法及びエマルジョン作成法について検討を行った。その結果、安定なPGLの調製法をようやく見出し、翌年度はこの方法を用いて本年度行う予定であった計画を遂行する。また、Trem2のCD1b拘束性T細胞活性化を調べるため、MA反応性T細胞株DN1を入手したが、in vitroでうまくExpandすることができなかった。

今後の研究の推進方策

(1) Mincle、Trem2を介した自然免疫応答の解析
Trem2及びMincleによって誘導される遺伝子発現を網羅的に解析する。また、Mincleを単独、あるいは、Mincleと野生型Trem2あるいはYF変異体Trem2を導入したNFAT-GFPレポーター細胞を用いて、Trem2によるMIncle抑制のメカニズムを検討する。
(2) PGLRの機能解析
野生型及びPGL欠損マウスの腹腔にPGLを投与し、惹起される炎症応答の性質について解析する。また、PGL欠損マウスに野生型BCG株あるいはPGL欠損BCG株を感染させ、菌の排除及び惹起される防御免疫応答について野生型マウスと比較する。
(3)CD1b拘束性T細胞活性化の検討
MA反応性T細胞株DN1からTCRをクローニングし、これを安定発現させたJurkatを作成し、これがCD1b拘束性にMAを認識できるか検討する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] IL-27-producing CD4+ T cells regulate protective immunity during infection with malaria parasites.2016

    • 著者名/発表者名
      Kimura D, Miyakoda K, Kimura K, Honma K, Hara H, Yoshida H, and Yui K
    • 雑誌名

      Immunity

      巻: 44 ページ: 672, 682

    • DOI

      10.1016/j.immuni.2016.02.011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Carma1クラスターによる抗原受容体シグナルの制御2015

    • 著者名/発表者名
      原博満
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 64 ページ: 398, 403

  • [学会発表] ITAM関連受容体によるパターン認識と自然免疫応答2015

    • 著者名/発表者名
      原博満
    • 学会等名
      The 44th annual meeting of the Japanese Society for Immunology
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)
    • 年月日
      2015-11-18 – 2015-11-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 脂質センサー型ITAM受容体による結核自然免疫応答の制御.2015

    • 著者名/発表者名
      原博満、飯笹英一、清原秀泰、中馬康志、矢野郁也、植松崇之、久保田未央、梅村正幸、山崎晶、松崎吾朗、吉田裕樹
    • 学会等名
      沖縄感染免疫シンポジウム
    • 発表場所
      琉球大学医学部基礎講義実習棟101(沖縄県中頭郡西原町)
    • 年月日
      2015-07-31
    • 招待講演
  • [学会発表] 脂質認識型ITAM受容体による結核菌の認識と自然免疫応答2015

    • 著者名/発表者名
      原博満、飯笹英一、清原秀泰、中馬康志、矢野郁也、植松崇之、久保田未央、梅村正幸、山崎晶、松崎吾朗、吉田裕樹
    • 学会等名
      第80回日本インターフェロン・サイトカイン学会大会シンポジウム
    • 発表場所
      東京工業大学蔵前会館(東京都目黒区)
    • 年月日
      2015-07-17 – 2015-07-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 自然免疫ITAM関連受容体による結核菌脂質の認識と免疫応答2015

    • 著者名/発表者名
      原博満、飯笹英一、清原秀泰、中馬康志、矢野郁也、植松崇之、久保田未央、梅村正幸、山崎晶、松崎吾朗、吉田裕樹
    • 学会等名
      第26回日本生体防御学会学術総会シンポジウム
    • 発表場所
      台東区生涯学習センター(東京都台東区)
    • 年月日
      2015-07-10 – 2015-07-12
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス創傷治癒過程におけるCARD9遺伝子欠損の影響2015

    • 著者名/発表者名
      上松野りな、鈴木愛子、菅野恵美、丹野寛大、高木尚之、石井恵子、原博満、丸山良子、川上和義,館正弘
    • 学会等名
      第26回日本生体防御学会学術総会
    • 発表場所
      台東区生涯学習センター(東京都台東区)
    • 年月日
      2015-07-10 – 2015-07-12

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公開日: 2017-01-06  

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