研究課題
本研究では、Treg特異的エピゲノムを形成するプロセスを多角的に解析し、Treg分化誘導の中核機構を明らかとし、治療、診断、創薬へと発展させる研究基盤を確立することを目的とする。Treg特異的エピゲノム成立過程の解析には、ヒト末梢血中のTregサブタイプの全ゲノムDNAメチル化パターンを取得し、Treg特異的脱メチル化領域、活性化特異的脱メチル化領域等を決定し、他のエピゲノム修飾領域との相関、Treg特異的遺伝子発現との相関を解析した。結果、Treg特異的DNA脱メチル化領域は、Treg特異的遺伝子発現やH3K27ac修飾と極めて相関が高く、Treg形質を特徴付ける遺伝子群の調節領域に集中していた。さらに、GWASデータベースおよび1000人ゲノムプロジェクトのデータを利用し、Treg特異的DNA脱メチル化領域と疾患SNPとの関連を解析したところ、Treg特異的脱メチル化領域には、自己免疫疾患に関連したSNPが極めて高く集中していた。一方、T細胞活性化に関わるDNA脱メチル化領域では、自己免疫疾患SNPの集中は見られなかった。これらのことから、自己免疫疾患感受性は、活性化T細胞の機能亢進よりむしろTreg機能の低下が要因となっていることが示唆された。胸腺におけるTreg発生過程の解析には、胸腺細胞群の遺伝子発現変化をシングルセル解析によりおこない、通常のT細胞とTreg細胞との分岐を決定づける機構について解析をおこなった。具体的には、胸腺の様々な細胞のシングルセルRNA-seqをおこない、細胞の分化に応じた細胞分画を同定後、Treg発生に重要な細胞内変化を解析した。結果、マウス胸腺細胞群の解析では、Tregおよび通常のT細胞へと分化が進行していく2つの経路が見いだされた。さらにこれらの経路に特異的に発現する因子をそれぞれ同定した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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