研究実績の概要 |
本研究課題では、(1)様々な医学部で活用可能な汎用性の高い「海外選択実習手引書」作成と、(2)海外選択実習の中長期的意義を明らかにする調査研究を並行して行っている。「海外選択実習手引書」については、多数の学生が海外実習を行っている英国・米国・カナダの医学部の手引書から枠組みを抽出し、豊富な実例とともに目的に応じて改編できるテンプレートを作成した。その成果は、2017年1月に国際学会(14th Asia Pacific Medical Education Conference)で発表した。 次に、学生時代の海外選択実習の学修アウトカムへの認識、その後の再留学やキャリア選択への影響について、郵送法とウェブ・アンケートを組み合わせて調査した(括弧内に対象者数と回収率を示す):①筑波大学卒業生(n=109, 78.9%)、②三重大学卒業生(n=446, 20.9%)、③医学教育振興財団英国短期留学(n=139, 24.5%)、④笹川記念保健協力財団フィールドワーク・フェローシップ(n=113, 38.1%)。筑波大学卒業生と三重大学卒業生を中心にインタビュー調査を開始し、海外選択実習の意義と課題について質的解析を行っている。 また、海外実習準備教育を「手引書」に盛り込むため、アンケート調査を参考に三重大学で渡航直前の学生を対象にワークショップを開催した。比較のため、前年度の学生対象に実習前後のアンケート調査を実施した(実習前:n=58, 79.3%, 実習後:n=58, 89.7%)。 さらに、途上国における実習課題を明らかにするため、フィリピン・レイテ島の医学校に学生と大学院生を派遣した。渡航前の緊密な連絡の重要性や、現地での移動・宿泊など実習以外での課題が明らかになった。その他、海外実習に関連する国際シンポジウムやセミナーを開催し、体験談を参考に学修アウトカムについて検討した。
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