皮膚筋炎に特異的な自己抗体である抗TIF1γ抗体(抗p155抗体、抗155/140抗体)が、TIF1γ分子中のどの部位に反応するか、すなわち、抗TIF1γ抗体のエピトープを同定するために、TIF1γ分子のリコンビナント蛋白を用いて反応実験を行った。これまでの研究により明らかになっているPHDドメイン内で種々の長さに変えたTIF1γ分子のリコンビナント蛋白や変異を挿入したリコンビナント蛋白および短い合成ペプチドを準備し、それらの蛋白・ペプチドに対する抗体の反応性をウエスタンブロットやELISAによって検討した結果、抗TIF1抗体の抗原認識配列が決定された。 前年度までの研究により、リコンビナントTIF1γ蛋白とアジュバントの繰り返し免疫によって、筋炎が誘導されることが組織学的に確認され、自己抗体の産生も認められた。そこで、B細胞表面分子であるCD19を欠損したマウスにおいて筋炎誘導実験を行い、野生型よりも重症化することが観察された。 さらに、皮膚筋炎特異抗体の対応抗原の一つであるMDA5蛋白を野生型マウスにおいて免疫することによって、ヒトの病態に類似した間質性肺炎が軽症ではあるが、発症することが観察された。 また、皮膚筋炎の特異抗体として報告されている抗small ubiquitin-like modifier-1 activating enzyme (SAE) 抗体陽性例および抗TIF1β抗体単独陽性例の臨床的特徴を明らかにした。
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