研究課題/領域番号 |
15H04909
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 正俊 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50251111)
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研究分担者 |
大野 達也 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 教授 (10344061)
若月 優 自治医科大学, 医学部, 教授 (40399449)
下田 絵美子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (00596950)
井上 和也 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20596952) [辞退]
若井 展英 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50745338)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経系腫瘍 / 幹細胞 / CD133 / p53 / 血管 / 炭素イオン線 |
研究実績の概要 |
ヒト由来の神経系腫瘍(上衣芽腫;p53野生型、膠芽腫;p53変異型、他)をヌードマウス(BALB/cA, JcL-nu/nu)の右大腿皮下に移植して、X線(150kV;奈良県立医科大学)、炭素イオン線(290MeV/u, 6 cm-SOBP;放射線医学総合研究所)、2Gy、4Gy、8Gy、16Gyの1回照射を行った。照射後、腫瘍径を測定して、増殖遅延、腫瘍縮小、腫瘍制御の検討を行い、また、照射後6時間、48時間、6週間後に、腫瘍を摘出して、一部の組織ではホルマリン固定、パラフィン包埋切片を作成し、一部の組織からはRNAを抽出した。組織標本では、H.E.染色、免疫組織化学を行い、腫瘍細胞、間質、特に血管系の変化を線量別に、経時的に検討した。まず解析を開始したp53野生型の上衣芽腫では、急速な腫瘍縮小、増殖遅延を認め、16Gy群の一部の腫瘍では再増大を認めなかった。組織学的には、大部分の腫瘍細胞は、類円形、小型で、照射後6時間ではいずれの線量でもアポトーシスを多数認めた。48時間後では、16Gy群の一部は線維性間質が主体になり、大型の腫瘍細胞がわずかに残存していた。ただし、いずれの群でも血管系には明らかな変性、壊死などは認められなかった。免疫組織化学的には、Nestin強陽性,CD44弱陽性で、これらには照射前後で有意な変化を認めなかった。CD133は大部分の腫瘍において弱陽性であったが、16Gy照射後48時間の腫瘍に見られた大型細胞は明瞭にCD133陽性であった。Ki-67 labeling index (LI)は照射後に著しく低下し、8Gy以上照射した群で顕著だった。ただし、16Gy照射後でも再増大を認めた腫瘍では、6週間後の組織は小型細胞が主体で、Ki67 LIの再上昇を認めた。なお、ここまでの検討では、X線群と炭素イオン線群に明らかな相違を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植後の腫瘍の生着、増大がやや不良で、当初の計画どおりに照射実験を実施することができず、全般的にやや遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
遅延した実験計画の分まで腫瘍を移植して、X線、炭素イオン線の照射、抗VEGF抗体投与、さらにこれらの併用実験を行う予定である。やや遅延しているが、概ね計画どおり実施可能と思われる。
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