研究課題
高浸潤性口腔扁平上皮癌は浸潤先端部において免疫抑制性の微小環境を構築している可能がある。28年度はPD-1/PD-L1経路の活性化がこの一因となっているか否か、以下の研究を中心に行った。その結果、高浸潤性口腔癌細胞におけるPD-L1の発現は低浸潤癌におけるPD-L1発現より低く、さらにEMT の誘導によりPD-L1の発現が減少していた。そこで29年度は低浸潤性口腔扁平上皮癌の癌細胞表面でPD-L1発現の調整がどのような機序で行われているのか検討した。その結果、低浸潤口腔癌細胞のPD-L1 mRNAは他の癌細胞より高い発現を示していたにも関わらず、低浸潤口腔癌細胞の細胞膜表面のPD-L1タンパク量は他の癌細胞より減少していた。そこで、細胞表面のタンパク分解酵素の発現を調べた。すると、細胞表面でMMP-7とMMP-13の発現が上昇していることが判明した。また、これらMMP-7とMMP-13のリコンビナントタンパクはPD-L1を分解していた。一方、低浸潤口腔癌細胞の細胞膜表面のPD-L1タンパクの分解はMMP-13特異的阻害剤(CL82198)で抑制され、MMP-7特異的阻害剤(BB94)で抑制されなかった。従って、PD-L1は癌細胞膜上でMMP-13を利用して発現量が調節されている可能性が示唆された。さらに、タキサン系抗癌剤のうち、パクリタキセルのみが高浸潤性口腔扁平上皮癌細胞のMMP-13発現を上昇させることが明らかとなった。そこで、高浸潤性口腔扁平上皮癌の治療においては抗PD-L1療法と併用する薬剤の候補としてパクリタキセルが考えられた。また、これらの結果からMMP-13を高発現している癌細胞には抗PD-L1療法の効果が低い可能性が考えられ、治療効果を予測するマーカーとして有用である可能性が示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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